国際的ピアニストの辻井伸行さん(35)が22日、東京都港区のサントリーホールで記者会見し、世界最古のクラシック音楽レーベル「ドイツ・グラモフォン」とグローバル専属契約を締結したことを発表した。125年超の歴史を持つ同レーベルが日本人ピアニストと契約するのは初となる。

 先天的に目が不自由な辻井さんは2歳3カ月でピアノを弾き始め、11歳で全国PTNAピアノコンペティションD級で金賞と審査員特別賞を受賞。2009年の米バン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初優勝した。11年にはニューヨークのクラシックの殿堂、カーネギーホールでリサイタルを開催するなど国内外で活躍を続ける。

 ドイツ・グラモフォンでの最初の録音は今年7月、ベルリンで行われ、来年初頭にリリースされる予定。ピアノ作品の中でも最も複雑かつ高度な技巧が要求される、ベートーベンの「ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラビーア》」が含まれる予定という。

 辻井さんは「僕は、子供の時からドイツ・グラモフォンのCDをたくさん聴いて、世界的な素晴らしいアーティストの演奏を聴いて育ってきたので、こうして契約できることになって非常に光栄ですし、うれしいとともに責任感も感じています」と心境を語った上で、難関曲への挑戦について「大曲で難しい曲ですが、歴史に残るようなCDにしていきたいと思っています。世界への第一歩としてスタートラインに立てたんじゃないかと思っていて、さらに頑張っていきたいなと思っています」と抱負を語り、リスト作曲の「愛の夢 第3番 変イ長調」と「ラ・カンパネラ」の2曲を披露した。