◇5日(日本時間6日)MLB ドジャース5―1ブレーブス(ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平選手が5日、本拠地でのブレーブス戦に「2番・DH」で出場し、1回に先制の9号2ラン、8回にダメ押しの10号ソロを放ち、本塁打王争いでメジャートップに並んだ。4年連続6度目の2桁本塁打をマーク。この日は2本塁打を含む4打数4安打と大当たりだった。ドジャースで初の1試合2発&4安打。チームは5―1で快勝し、ナ・リーグ東地区首位の強豪ブレーブスをスイープ。貯金は今季最多の「10」となった。

 試合前に、真美子夫人と愛犬のデコピンが来場する中、大谷がいきなりドジャースタジアムのボルテージをあげた。1回無死一塁の第1打席。初対戦となったメジャー屈指の好左腕フリードに追い込まれたが、甘く入ったカーブを打ち砕いた。緩急で仕留めようとしたバッテリーを落胆させる強烈な打球を中堅へ。「1本目はちょっと詰まり気味というか、ポイントが後ろ目だった。ギリギリ入ってくれたらいいなと」。バックスクリーンに飛び込む先制の9号2ラン。一塁付近で右の拳を上げて、渾身(こんしん)のガッツポーズも見せた。

 これは「ショータイム」の幕開けだった。3回は外の158キロ速球を巧みに左前へ。6回は外のスライダーを片手1本で中前に運ぶと、度肝を抜いたのは8回だ。救援左腕ミンターのど真ん中速球に一閃(いっせん)。打球は逆風を切り裂き、中堅左の観客席に飛び込んだ。飛距離464フィート(約141.4メートル)は今季自身最長で、キャリアでも3番目。逆方向の打球ではキャリア最長だった。

 この一撃にはロバーツ監督も驚きを隠せなかった。「彼は誰も見たことがないことをやり続けている。あんな打球をあそこに飛ばす人間はほかにいない。しかも、風は左から右に(逆風が)吹いていた」。記憶にも、記録にも残るアーチで、4年連続6度目の2桁本塁打に到達した。

 本塁打王争いは「定位置」のメジャートップに並び、打率は3割6分4厘と上昇し、現時点で首位打者に浮上した。だが、個人記録のことは頭にないという。「自分自身の数字もほぼ見てないし、今までのシーズンの中で一番(見ていない)。他にやることがある。チームの打線の中で、その流れを理解して打線に慣れることが一番」。自身がやるべきことをやる。それがこの日は「持ち味の長打」となった。

 プレーオフの前哨戦ともいえる強豪ブレーブス相手に、アドレナリンが吹き出した。前回のアリゾナ遠征では不本意な打撃だったが、休養を挟んで、このブレーブス3連戦は12打数8安打、3本塁打と一気に復調した。「素晴らしいチームだし、みんな気合も入っていた」。目標のワールドシリーズ制覇へ先は長いが、勝利に向けて今季はとんでもない数字を残すかもしれない。登場曲は「The Show Goes On」。ロサンゼルスのファンを魅了する「ショー」はこれからも続く。(写真はAP)