今回は夏場所(5月12日初日・両国国技館)で自己最高位の東前頭2枚目まで番付を上げた平戸海(24)=境川=とはなわの、九州出身同士の対談となりました。平戸海は中学卒業後に入門したたたき上げ力士。同学年には大卒の大の里というライバルもいます。これから大相撲を盛り上げていく、2000年生まれのミレニアム世代としても注目です。 (構成・岸本隆)

 はなわ「僕は九州の佐賀県出身。長崎県とは隣接しているということで、同郷の気持ちで応援しています。先場所は自己最高位で見事に勝ち越しました」

 平戸海「勝ち越したときは、あまりいい気持ちにはなれなかったんですよ。まげをつかまれたという反則勝ちだったので。だから千秋楽はしっかり勝って終わりたいなと思って。勝てたのでよかったです」

 はなわ「入門したときの体重は何キロ?」

 平戸海「85キロから90キロぐらいです」

 はなわ「そんなに僕と変わらない。僕も今80キロちょっと。今は?」

 平戸海「138キロぐらい。最高で140キロです」

 はなわ「体を大きくするのは大変だったでしょう」

 平戸海「自分は全然ご飯を食べられないので大変でした。だから、はなわさんのお子さんたちをテレビとか見ているとすごいなと(笑)。よく食べますよね」

 はなわ「うちの子ね! 関取はあまり食べられない」

 平戸海「おなかがすぐポンッて出て張って苦しくなるので。分けて食べたりしています」

 はなわ「自分で料理もします?」

 平戸海「オムライスが好きだったので、基本的に夜食は毎日オムライスでした(笑)」

 はなわ「毎日! じゃあオムライスは得意料理ですね。2000年生まれ。ぼくの長男坊と同い年」

 平戸海「それではなわさんの息子さんのこと覚えていたんです」

 はなわ「柔道の全中でうちの子は3位になりました。それを見てくれていたんだ」

 平戸海「中学の時から見てました」

 はなわ「まだ長崎にいるときから? うれしいなあ。世代でいうと大の里関が同じ年。どこかで意識してる?」

 平戸海「もちろん意識しています。先場所で初めて当たって。やっぱり強かったです」

 はなわ「気合が入っているのがよく分かりました。悔しいなというのが顔に出ていました」

 平戸海「気合入ります」

 はなわ「同い年のライバルがいるのはいいですね」

 平戸海「自分も負けられない」

 はなわ「学生相撲からの角界入りがけっこういます。その中で関取はたたき上げの中学卒業しての入門」

 平戸海「たたき上げっていったら、しっかり稽古しないと上に上がれない。自分には合っていたと思います」

 はなわ「高校進学は考えなかった?」

 平戸海「よくしてもらった先輩が高校にいたので、その高校にいこうと思ったんです。でも頭のいい高校だった。自分じゃいけないぐらいの高校だったので(笑)」

 はなわ「ご両親は中卒での入門に何か?」

 平戸海「本当は違うこと思ったんだと思いますが、自分の行きたいところに行きなさいと言われました」

 はなわ「関取は相撲は好きだった」

 平戸海「力士にはなりたいと思いました。中学3年生ぐらいです」

 はなわ「全中で結果が出て」

 平戸海「それもあります。でも、仕事といったら、これしかないと思っていたので」

 はなわ「平戸という街は、僕もいったことがあるが、本当に素晴らしい。海がきれい。あの街で暮らしてしまうと、東京とは全然違う。ホームシックには」

 平戸海「小さい妹と弟がいるので、会いたいなとはよく思っていました」

 はなわ「だいぶ年が離れてますよね?」

 平戸海「一番下とは15歳離れていて。今は小3。かわいいです」

 はなわ「ヒーローですよね。自分のお兄ちゃんが関取なんて。他の部屋からも、いくつか話がきていたとか。境川部屋に決めた理由は?」

 平戸海「師匠がすごく熱い方だと思いましたし、関取もそのとき5人ぐらいいて。力士もたくさんいて、いろいろな方と稽古できるなと思いました」

 はなわ「親方からスカウトしてもらったんですか?」

 平戸海「中学校の全国大会のとき、境川部屋に泊まったんですよ。長崎出身と山口出身が境川部屋に。中2、中3と泊めていただいて。そのときに声をかけていただいて」

 はなわ「長崎の大先輩でもある。長崎はいいところ。特に島ですからめちゃくちゃ応援されているのでは」

 平戸海「外に出るだけで声をかけてもらいます」

 はなわ「スーパースターですよ。そろそろモテ始めちゃうから、その辺が心配だなあ」

 平戸海「しゃべるのがあまり得意じゃないので(笑)」

 はなわ「しゃべりなんて、お相撲さんにいらないですよ。どういうタイプの女性が好き?」

 平戸海「背が高くて一緒にいて気を使わないというか、楽しい感じの人がいいですね」

 はなわ「有名人だと?」

 平戸海「永野芽郁さん」

 はなわ「永野芽郁ちゃん! うちの息子と同じこと言いますね〜。見てくれていればいいですね」

 平戸海「ないっす(笑)」

 はなわ「来場所の目標は?」

 平戸海「10番勝ちたいです。三賞取ったことないので取りたいですね」

 はなわ「その先の目標は?」

 平戸海「まず三役を目指して、そこからですね。その上を目指したいです」

 はなわ「関取はこれから時代を作っていく世代。ミレニアム力士。ミレニアム世代が次の大相撲を担っていくと思っています。ぼくの中で長崎県のスーパースターといえば、福山雅治さんと平戸海関!」

 平戸海「いえいえいえ(笑)」

 はなわ「間違いなくそうですよ」

 平戸海「そういってもらえるように頑張ります」

 ▼平戸海雄貴(ひらどうみ・ゆうき、本名・坂口雄貴) 2000年4月20日生まれ、長崎県平戸市出身の24歳。178センチ、139キロ。小1から相撲を始め、中3で全国中学校相撲選手権大会で5位入賞。中学卒業後の16年春場所で初土俵を踏む。21年九州場所で新十両、22年秋場所で新入幕。家族は両親、妹、妹、弟。

【インタビューを終えて】

 ほんとに素朴な方でした。いい意味で田舎の青年で。自分の長男と同い年というのもありますけど、息子を見てるような感じがしました。

 うちの長男もしゃべるのが苦手なんですけど、その息子とかぶっちゃって、かわいいなあと思いながら話をさせていただきました。

 15歳で入門。今の時代ではほんとにすごい決断ですよね。本人もそうだし親御さんも。そのぐらいの決意できてるということですよね。

 努力をする才能がある力士ですから、これからもっと強くなるのは間違いありません。大相撲を支えていく1人です。

 平戸には昔行ったことがあって、ほんとにいいところ。いるだけで癒やされました。あの町から相撲界を目指して上京してきたことだけでもすごいことですよね。地元のみんなの誇りだと思うので、みんなのためにも頑張ってほしいです。

 長崎県は佐賀県と隣接してるので同郷、同じ出身という気持ちで応援してます。佐賀県には関取がいません。平戸海関が一番近くにいる関取だと思って、心から応援してます!