SF 第2戦 決勝 19日 オートポリス(大分県)

ペン=田村尚之 カメラ=多賀まりお

 ダンディライアンの牧野任祐(ただすけ、26)が参戦6年目で悲願の初勝利を挙げた。2019年のSFデビュー以来、実力を認められながら不運やアクシデントが続いた。ついに表彰台の真ん中に立ち、うれし涙だ。ポールポジションだったムゲンの岩佐歩夢(22)は、スタートの出遅れが響いて2位。トムスの坪井翔(28)が6番グリッドから3位に食い込んだ。TGMの女性ドライバー、Jujuこと野田樹潤(18)は20位に終わった。 (観衆=8900人)

 込み上げてくる涙が止まらない。初勝利をもぎ取った牧野は、クルマを降りるなり、涙を振りまきながら、派手な雄たけび。直後にはチームスタッフに駆け寄り、涙、涙の抱擁を繰り返した。

 「ようやく初優勝を味わえた。チェッカーを受けた瞬間から、おえつが止まらず、言葉を出せなかった。とにかく涙が止まらなかった」

 道のりは長かった。SFデビュー戦でいきなりポールを奪うなど、衝撃の速さを見せるも、どうしても勝利に届かない。6度の表彰台に上るトップドライバーに成長しながら、チャンスが訪れるたびに不運やアクシデントに泣いた。

 「チームメートがどんどん勝っていくし、もう勝てないのかと思っていた」と牧野。19〜20年のナカジマ時代には、大湯都史樹に初Vで先を越され、21年からのダンディライアンでも、福住仁嶺や、昨年の最終戦で後輩の太田格之進に初勝利を許し、精神的にもつらい時があったという。

 それでも、チームとクルマを作り上げるアプローチは変えず。昨年途中から調子が上向いたクルマの力を、最大限引き出すことに集中した。「自分を信じてやり続け、それが形になった」

 スーパーGTのクニミツでコンビを組む山本尚貴は「SFではライバルだけど、任祐は特別。勝ってないのは不思議なぐらいだった」と、わが事のように喜ぶ。仲の良いKCMGの福住や、セルモ・インギングの阪口晴南らも祝福に駆けつけた。

 これでムゲンの野尻智紀と同ポイントのランク首位。「『まず1勝』でやってきて、その殻を破れた。挑戦者の気持ちを忘れず戦いたい」。次なる目標に向け、自分の戦い方を貫く。