2026年からF1に新規参入する独自動車メーカー「アウディ」は26日、チームがニコ・ヒュルケンベルグ(36)=ドイツ=と選手契約を交わしたと発表した。アウディのドライバー発表は初めて。ヒュルケンベルグは、アウディが参入の際に完全買収するザウバー(現在ステーク名義で参戦)に来季から加入し、シーズンを戦いながら新型車両の開発に関わる。アウディF1のアンドレアス・ザイドル最高経営責任者(CEO、48)は「ニコとの契約はアウディの新たなマイルストーンになる」と力を込めた。

 新規参入するアウディが最初に指名したのは、有力視されていたドイツ出身のベテラン、ヒュルケンベルグだった。まだ一度も表彰台に立ったことはないが、13年間のF1で7チームを渡り歩き、出場200戦以上という豊富な経験を買われた。

 アウディF1のザイドルCEOは「ニコのスピードや経験、献身的な働きぶりは、アウディのF1参入にあたって重要な役割を果たしてくれるはずだ」とコメント。これまでと同様、いぶし銀の輝きを放つパフォーマンスを期待する。

 指名を受けたヒュルケンベルグも、初の自動車メーカー系ワークスチーム入りに大喜びだ。「ドイツメーカーがやる気満々でF1に参入してくるなんて(自身にとっても)またとない機会。ドイツ製パワーユニットを搭載するファクトリーチームで走れることは、すごく光栄」と感激。世界的に有名な、母国の高級車メーカーの下で走るチャンスに奮闘を誓う。

 F1デビュー時に「ミハエル・シューマッハー2世」ともてはやされたヒュルケンベルグは、あまりチームに恵まれず、2019年限りでF1シートを喪失。だが、コロナ禍の20年、レーシングポイント(現アストンマーティン)から2度、代役参戦し入賞という離れ業を演じた。23年にはハースのレギュラーシートをつかんで復活した。

 アウディのもう一人のレギュラーには、今季限りでフェラーリを離れるカルロス・サインツが、筆頭候補に挙げられる。ただ、サインツは第3戦オーストラリアGPを制すなどランキング4位と好調で、メルセデスやレッドブルのシートを狙っているという。

 アウディとしては、まずは堅実な実力派、ヒュルケンベルグを迎え入れ、チーム体制を固めていく考えのようだ。すでにザウバーの完全買収を発表しており、26年のF1デビューへ向け、着々と準備を進めていく。