北朝鮮の各都市には「蒼光院(チャングァンウォン)」と言われるスーパー銭湯や、ボーリング場などのレジャー施設、宿泊施設など、労働者の福利厚生施設が存在する。

ところが、咸鏡北道(ハムギョンブクト)人民委員会(道庁)の会議で暴露された、清津(チョンジン)市内のこれら施設の実態はこのようなものだった。

「未成年者が宿泊施設に出入りして不健全な行為に走る例が蔓延しており、最近できたボーリング場では、カネを賭けてゲームをするなど賭博行為まで躊躇なく行っている。施設の管理・運営を担うイルクン(幹部)たちは、これを黙認しカネ儲けに没頭している」

現地のデイリーNK内部情報筋によると、人民委員会で会議が開かれたのは4月20日のことだった。道内の福利厚生施設に資本主義生活様式が流入し、非社会主義行為(風紀の乱れ)が起きているとの問題提起があったからだ。

その場では、国が人民を幸せにするためにボーリング場を新たに建設し、ホテル、百貨店、レストランなどを運営しているのに、そんな行為が行われ、トンジュ(金主、ニューリッチ)や機関のイルクンが私腹を肥やしていると批判の声が上がった。

そして、その上で示された解決方法は「学生、若者に文化厚生施設の正しい利用方法を教育、広報していく」というものだった。おそらく糾察隊(取り締まり班)が配置され、現場で取り締まりが行われるのだろうが、カネ儲け主義には勝てないだろう。

咸鏡北道の会寧(フェリョン)では、オルム(覚せい剤)を服用して「性びん乱」にハマっている生徒が槍玉にあげられた。生徒の6人に1人が覚せい剤を服用していることも明らかになった。もっとも、これも今に始まったことではない。北朝鮮では10年以上前から、地方都市の女子中学校の薬物汚染が発覚するなどしているのだ。

また、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)で2019年9月、若者と兵士との間で乱闘騒ぎが起きた。現地のデイリーNK内部情報筋によると、中学生5〜6人がアヘンを注射しつつ通りを闊歩。偶然出会った兵士らに襲いかかり暴行を加えたという。

「荒れる少年たち」の実態がしばしば報じられるが、そもそも大人がサウナを不倫の現場に使ったり、売買春に加担したりするなど、模範を示せていないのに、若者を納得させられるわけがないのだ。