わが子の親権を巡るトラブルが一段落したということで、記者会見に登場した元卓球日本代表で五輪メダリストの福原愛さん。元夫と和解に至ったのは良いことなのだが、会見では本筋の話以外に容貌の変化も注目の対象となった。さらにライターの冨士海ネコさんは、過去の彼女の会見との共通項が気になって仕方がなかったようだ――。

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 元夫である江宏傑氏から「長男の引き渡し」を求められていた、元卓球日本代表の福原愛さんが久々にメディアの前に登場し、話題となっている。さかのぼれば2023年7月、東京家裁が長男を江氏に引き渡すよう命じる決定を下したが福原さんは従わずに中国に滞在。その前には30代くらいの男性と一緒に、三人でシンガポールにてバカンスを楽しんでいたとも報じられた。日本の司法の範囲が及ばない場所を転々としているように見えても仕方ない。江氏側はやむなく警視庁に刑事告訴したようだ。

 当時福原さんは、姿を現すことなく文書で反論。今回は和解報告とあいさつのためだけに出てきたが、4分間で済む情報こそ文書で済ませてもよかったように思う。

 ならばなぜ、わざわざ姿を現したのか。パリ五輪も射程に入れた、スポーツイベント起用を意識した行動ではないかという声もある。確かにそうした狙いもあるだろうが、個人的には「メンツを潰されたままでは我慢ならない」という、彼女らしい気の強さゆえの行動に映った。

 会見では美魔女化した容姿にも注目が集まっていたが、「美容にかけるお金も余裕もあるし、この程度のこと全然ダメージと思ってないんで!」という余裕を見せたかったのかな、と感じた。

 直情的な行動に出ては批判され、その度にしおらしい顔で通り一遍の謝罪はするものの、肝心なことは言わない。福原さんの昔からの行動パターンである。

 深々と頭を下げれば、厳しい追及からは逃れられる。が、実際にはかつてスノーボードの選手が記者会見で放った、「ちっ、うるせーな、反省してま〜す」と同じである。要は「形式上は謝ってるんだから、もうゴチャゴチャ言わないでよね」とけん制する、気の強さをひしひしと感じた。質問も受けずに退出したことについては、福原さんファンが多い台湾の報道機関からも疑問の声が上がったようだ。

取材陣を懐柔するテクニック? テニス選手との熱愛発覚の時から繰り返される「後先考えない行動」と「しおらしい謝罪」のセット

 一見殊勝な彼女の謝罪スタイルは、現役時代に人気テニス選手との交際が発覚した時から確立したように思う。体を寄せ合いながらデートを楽しみ、路チューする姿を撮られた福原さんの、当時の成績は芳しくなかった。そのためか、取材陣の前で「この度はお騒がせして申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げる映像が残っている。

 成績不振のことなのか、交際が発覚したことなのか、それとも両方を指しているのか。「お騒がせして」の内容はいかようにもとれる。ただ、まだ10代の、小さい頃から見知った女性アスリートのいたいけな姿に、メディアの態度は軟化した。「気遣い愛ちゃん」と、無理してカメラの前に出てきた福原さんのことをかばうようなスポーツ紙もあった。

 この時のことが成功体験になったかは分からない。しかし福原さんは交際相手ができるたびに舞い上がり、その度にメディアの前に神妙な顔で出てきて好感度を上げるというのを繰り返している。江さんとの結婚時は「キス100回」を中国のリアリティー番組で見せつけ、ネットは大荒れに。数カ月後に楚々としたワンピース姿で引退会見を行い、「(泣き虫愛ちゃんというあだ名に反発していたものの)やっぱり泣き虫。なので『泣き虫愛ちゃんだよ』って言いたい」とほほ笑み、取材陣をメロメロにしていた。

 しかしその3年後に、福原さんの朝帰り不倫が発覚する。既婚者と密着してデートを楽しみ、ホテルと自宅に連泊した姿が写真誌に掲載されてしまった。福原さんは、「仕事で悩んでいたが社会人経験がないため、先輩に相談していただけ」と約500文字にわたって切々と無実を訴える文書を発表。カメラの前に立たずとも、直筆で長文をつづるという方法を選ぶのがなんとも彼女らしい。広末涼子さんのラブレターしかり、女性有名人の直筆メッセージに心打たれないオジサンはいない。

 しかし「泊まったが部屋は別」と言われても、家族を置いて別の男性と連泊する行動は、さすがに福原さんとじっこんのメディアもかばいきれなかった。翌年には男性宛てのラブレターがあったことも発覚。やはり直筆だったようだが、男性側の元妻によって裁判にもなりかけ、福原さんの好感度は急落し続けた。

 同時期に江さんのモラハラ疑惑もささやかれており、離婚についての話し合いも同時進行していたという。結局今も、不貞やモラハラの真相は明らかになっていない。というより、形だけ謝るが本当のことは絶対に話さないという態度こそ、福原さんの気の強さやプライドを守る生き方を示しているのではないだろうか。そしてその気の強さやプライドの高さこそが、メダリストになれるほどの強さの源泉でもあることは否定できないのである。

相変わらずの「相談女」ぶりだが……美人でママでグローバルな元アスリートという経歴の強さ

 メダリストになれたのも、同じことを繰り返してもケロッとしているのも、気の強さゆえ。それでどんなにたたかれたとしても、メリットの方が多い人生なのだろう。元五輪メダリストであり、母であり、しかも美人で語学力まであるとなれば、スポーツ解説だけでなく、今後もあらゆる企業の社外取締役やコメンテーターとしても引っ張りだこに違いない。福原さんが謝罪会見には出るが周囲を突っぱねる強情なスタンスを変えないのは、自分の市場価値がいまだに高いことをよく分かっているからではないだろうか。

 それにしても会見で笑ってしまったのは、子どもを引き渡さなかったのは「当時相談していた友人からのアドバイス」と言うくだりだ。また人生の重要事項を、専門家でもない友人に相談していたのかと。刑事告訴されて慌てて依頼した弁護士からは「裁判所に命ぜられても福原さんが息子さんを江さんに引き渡さなかったことは、不適切と言わざるを得ません」と、対応のまずさをバッサリと指摘されていた。不倫騒動の時も、数年前に1度しか会ったことのない相手に身の上話を持ちかけていただけに、つくづく「友人に相談」するのが好きな人のようだ。

 とはいえ、不倫騒動で日本中を騒がせた広末さんも活動を再開した。福原さんだって、すでにさまざまなスポーツ関連の企業やイベントで、好待遇を得る話は舞い込んでいることだろう。いずれにせよまた「友人に相談」していろいろと決めている最中ではないだろうか。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部