結成17年 実力派コンビ

 人気お笑いコンビ・尼神インターが先月、コンビ解散を発表した。NSC大阪30期生として出会い、07年に結成された同コンビは、オールザッツ漫才2015ネタバトルで優勝、ytv漫才新人賞決定戦やABCお笑いグランプリで決勝進出を果たすなど、ネタに定評のある実力派コンビだった。そんな彼女たちは何故、結成から約17年で別々の道を歩むことになったのか――。

 若手時代、大阪を拠点に活動していた尼神インターは、渚が男役を演じ、誠子がモテない女性や意識の高い女性になりきったネタが話題となり、着実に結果を残していった。当時の2人を知るテレビ局関係者はこう語る。

「尼神インターは、漫才はもちろん、トークやロケ企画でも大活躍でした。芸人になる前は大工をしていた渚さんの男勝りな性格、それに対して誠子さんはとにかく乙女、ブスいじりされた際のキレのあるツッコミが爽快で、一気に人気者になりました」

 笑いの本場・大阪で経験を積み、17年から東京に活動の拠点を移した尼神インター。明石家さんま、ダウンタウンら大御所芸人からも愛のあるブスいじりを受け、爆笑をさらう誠子の姿が、何度も人気バラエティー番組で見られた。しかし、武器のひとつであったブスネタを封印せざるを得ない状況となる。

「17年頃、当時アジアンとして活動していた隅田(美保)さんが容姿いじりによって婚活が上手くいかないことを主張しました。それ以降、女性芸人へのいじりや厳しい発言に対しテレビ局にクレームを入れる視聴者が増え、業界としても容姿をいじるネタを控える方向になっていったのです。その影響を受けて、尼神インターの漫才やバラエティー番組での立ち振る舞いにも変化がありましたね」(前出のテレビ局関係者)

テレビではカットも

 誠子は大阪時代、ノーリアクション乳首洗濯バサミ、ノーリアクション自転車ケツ止めなど、体を張った芸も鉄板ネタだった。東京進出後も、テレビ番組の収録で披露していたというが、オンエアではカットされることが多く、受け入れられることはなかったとインタビューで明かしている。

「ブスいじりや体を張った芸を否定する人が増えていますが、女性芸人の中にはそういった風潮に戸惑っている人もいます。誠子さんは自身のエッセイ本『B あなたのおかげで今の私があります』(KADOKAWA 20年刊)で、ブスネタを武器にして性格が前向きになったことを明かしているのですが、そういった思いは世間に届いていないようです」(同)

 M-1グランプリ、女芸人NO.1決定戦THE Wといった賞レースにも出場していた尼神インターだが、22年以降は不参加となり、ピンでの活動が増えて行く。渚は元大工という経歴から、「有吉ゼミ」、「大改造!!劇的ビフォーアフター」といった人気バラエティーで活躍。2月からはTBSラジオで「渚のキャッ火ラジオ」がスタートし、3時のヒロイン・福田麻貴が主演を務めたドラマ「婚活1000本ノック」に出演するなど、活動の幅を広げている。

 一方、誠子は20キロ減のダイエットに成功したことがネットで話題になったり、美容関連のメディアには登場しているが、テレビ番組への出演は減少しているのが現状だ。ブレイク時から、結婚願望があることを明かしていたが、35歳になった今、インスタグラムでは「#誠子食堂」のハッシュタグを付けて家庭的な料理を公開している。

 今も芸人の道を歩み続ける渚と、女性として新たな道を模索しているように見える誠子。誠子は解散発表の際、「私は人生たった一度きりだから勇気を出して挑戦をしたいと思いました」、「今までの経験や想いを大切にしながらこれからは枠に捉われずに、私らしく輝きたいです」と思いを伝えた。それぞれの道を進む決断をした2人の行く末は。

デイリー新潮編集部