姉が先に「月9」で主演

 俳優の広瀬アリス(29)が主演を務めるフジテレビ系月9枠の連続ドラマ「366日」が8日にスタートし、平均世帯視聴率は7.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、15日放送の第2話は6.4%を記録した。

 同ドラマは沖縄出身のバンドHYの名曲「366日」に着想を得たオリジナル作品。広瀬演じる音楽教室に勤める主人公・雪平明日香が、眞栄田郷敦(24)演じる、外食チェーンに勤務する水野遥斗と、高校時代に実らなかった恋をかなえるために奮闘する姿を描く。

「フジの月9枠らしい、王道のラブストーリーですが、初回からいきなり遥斗が昏睡状態になって病院に担ぎ込まれるという悲劇が襲います。演じている2人の年齢差から、高校の同級生にはどうしても見えない。案の定、第2話では眞栄田は寝たきりの状態でほぼ出番がなし。暗〜いドラマになってしまいそうです」(フジテレビ関係者)

 広瀬アリスといえば、妹のすず(25)と共に、テレビや映画の出演作は多いが、すずはまだ、月9で主演を務めていない。さらにアリスは、昨年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で、嵐の松本潤(40)が演じた主人公・徳川家康の側室・於愛の方を演じたが、すずは19年前期の「なつぞら」で、連続テレビ小説のヒロインは務めているものの、まだ大河への出演はない。

「姉妹で先に芸能界入りしたのはアリスです。しかし、俳優として売れたのは、すずの方が先で、しかも、しばらく独走状態でした。ところがここにきて姉妹の“格差”が埋まったと言っていいでしょう。そうなった要因は、姉妹の作品選びと、これまでの交友関係に原因があるのではないでしょうか」(スポーツ紙記者)

 今月8日、都内で「366日」の記者会見が行われた。ドラマのストーリーにちなんで「忘れられない思い出」について聞かれたアリスは、「スカウトされた瞬間です」と小学6年時の思い出を語った。「髪も短く日焼けして真っ黒で、男の子と間違えられてスカウトされたんです」と明かして会場を沸かせた。

「アリスは09年にティーン向けファッション誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルオーディションでグランプリに選ばれて芸能界入りしました。すずは母と同誌のイベントに来場した際、アリスが所属していた『フォスター』の女性社長に『次は、あなたよ!』とスカウトされ、芸能界入りします。12年に姉と同じオーディションでグランプリを獲得し、同誌の専属モデルを務めることになりましたが、姉妹での専属モデルは同誌史上初でした。15年1月発売号では、姉妹で表紙を飾る快挙を成し遂げましたが、2人とも人気モデルの地位に満足せず、俳優業の道を歩むことになります」(出版業界関係者)

 アリスは08年、NHKの「ファイブ」でドラマ、同年公開の「死にぞこないの青」で映画デビューを果たす。すずは遅れて13年のフジ系「幽かな彼女」、同年公開の「謝罪の王様」で映画デビュー。アリスの方が俳優としては5年先輩だが、先述の通り、先にブレイクしたのはすずの方だった。

主役を張る妹、脇役で光る姉

「すずさんは、15年と16年にステップアップを重ねます。まず、15年に日本テレビ1月期ドラマ『学校のカイダン』で連続ドラマ初主演。5月には綾瀬はるか、長澤まさみらと姉妹の役を演じた『海街diary』がカンヌ国際映画祭で公式上映されて、その演技が注目されました」(映画ライター)

 翌16年には、競技かるたに青春をささげる高校生役を演じた『ちはやふる』で映画初主演。続く『怒り』では、米兵に無理やり関係を持たれる沖縄の高校生という難役を演じた。同年度の日本アカデミー賞では、『ちはやふる』で優秀主演女優賞、『怒り』で優秀助演女優賞をダブル受賞する。

「18年の公開作で完結を迎えた『ちはやふる』シリーズは、3作品の累計興行収入は45億円となり、一躍、映画界で注目の存在になりました」(同)

 これ以降、すずはドラマよりも映画に比重を置き、いずれも主演もしくはヒロインを務める作品が続々と公開されたが、若気の至りと思われるテレビ番組での発言が批判を浴びたこともあった。

 15年6月18日放送の、フジテレビ系バラエティー番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」の人気コーナー「食わず嫌い王決定戦」に出演した際、MCの石橋貴明から「テレビ局で働いている照明さんなんか見るとどう思うの?」と聞かれたすずは、

「どうして生まれてから大人になった時に、照明さんになろうと思ったんだろう?」

 と疑問を呈し、さらに、音声スタッフについても「大人になって年齢を重ねると共に、本当に……声を録るだけでいいの?」と本音を漏らした。

「この発言に、『裏方を蔑視している!』などの批判が殺到。放送翌日、すずは自身のツイッター(現X)で『誤解を与えるような発言をしてしまい申し訳ありませんでした』と謝罪する事態に追い込まれました。番組は収録なので、編集でこの発言はカットできたはずですが、問題発言だと思わなかった制作サイドも、すずの事務所も、まさかここまで大事になるとは思わなかったのでしょう」(前出・記者)

 妹が飛躍を遂げる間、姉のアリスは17年後期のNHK連続テレビ小説「わろてんか」では「ミス・リリコ・アンド・シロー」の夫婦漫才師を好演。19年からフジでシリーズ化され劇場版も公開された「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」、映画「新宿スワンII」(17年)のヒロイン役など、脇役ながら地道に仕事をこなしていた。

「すずが売れるにつれて、所属事務所のブッキング力も段違いにアップしました。『うちのアリスはどうでしょうか?』と売り込む機会が増え、一度はアリスと仕事をしてみたいと思っていたスタッフも多かったのです。やがて、アリスもかなり力があるという評判が業界内で広まったようです。すずは主役オンリーで、しかも似たような役が多かったのですが、アリスは脇役なので、色々な役をこなす機会に恵まれ、次第に演技力も磨かれたのでしょう」(同前)

プライベートも異なる姉妹

 姉妹は2021年ごろまで、母親と一緒に住んでいたという。

「すずは若くして売れっ子になったので、ほとんど遊ぶ時間もなく、正直、恋愛経験も少なくて仕事ざんまいの日々でした。共演者とのプライベートでの交流についてもあまり聞こえてこなかったのですが、17年の元旦に俳優の成田凌との交際を、一部スポーツ紙が報じました。しかし事務所が即座に否定し“火消し”に成功。あくまでも清純派で売ろうとしていたのです」(前出・記者)

 一方の姉の方はというと、仕事以外の時間を有効活用し、飲み会に参加して人脈を広げ、それが仕事につながったこともあったという。21年5月9日放送の日本テレビ系「おしゃれイズム」に出演した際に、交友関係を明かしている。アリスは「同年代の女優さんはほとんどいないです。唯一連絡とるのが本田翼とかですね」と告白。そのうえで、“飲み友”が俳優の唐沢寿明であると紹介されると、

「それこそ、コロナ前は週2とかで行かせていただいてました。多い時は2日連続とかで……。谷原章介さんと及川光博さんと。時々、奥様の(山口)智子さんもいらっしゃって、一緒に飲んで、ご飯食べて」

「唐沢とはドラマ『ハラスメントゲーム』(18年、テレビ東京)で共演していますが、彼はアリスの“男前”なところを気に入ったようです。ほかにも西田敏行、遠藤憲一、滝藤賢一、今田耕司、佐藤二朗、水野美紀ら、ドラマや映画には欠かせない人と交流があることを明かしています。こうした関係は今後も大いに仕事に生きるでしょう。すずと比べ、コミュニケーション能力が長けているのでしょうね」(同前)

 すずは、朝ドラ「なつぞら」までは仕事が順調だったが、映画「流浪の月」(22年)の興行収入は8.3億円で、邦画ヒットの基準となる10億に届かず。昨年1月期の「夕暮れに、手をつなぐ」でTBS系の連ドラ初主演を果たしたが、全10話の平均視聴率は6.3%だった。一方、アリスは徐々にヒロイン役をゲットするようになり、昨年10月期のTBS系「マイ・セカンド・アオハル」で連ドラ初主演、そして、「366日」でも主演を果たすことになった。

「すずさんは若くして主演女優のイスをゲットしたこともあり、役を選べる立場になりました。そのため、自分と同世代の女子高生役をメインに作品を選んでいましたが、年齢を重ねるにつれて、それも難しくなっています。いつの間にか“脱・女子高生役”となりましたが、自分にどんな役が合うのか、まだつかめていないようです。それに比べ、アリスさんは自分で役を選べる立場ではありませんでした。なので、同年代から年上の役、さらには職業もOL、秘書、放射線技師、夜の仕事など幅広い役柄をこなし“引き出し”を増やしてきたのが今になって生きている」(映画業界関係者)

 姉妹の仲の良さは変わらずで、仕事に関しては互いをライバルと見ることはないという二人。女優としての“格”はほぼ並んだといっていいだろう。

デイリー新潮編集部