タクシー運転手との飲酒トラブルを起こしたお笑いコンビ「ウエストランド」河本太(40)について、所属事務所「タイタン」社長の太田光代氏が“愛のムチ”として「コンビ間のギャラ折半を解消」したと明かした。実はそもそもギャラを折半しているコンビのほうが「少数派」とされ、各コンビの“折半する・しない”理由を紐解くと、芸人たちの愛おしくも複雑な人間模様が見えてくる。

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 ウエストランドがギャラを折半にする始まりは、河本からの申し出によるものだったという。

「まだ売れていない駆け出し時代、ウエストランドはいまと違って井口浩之(40)よりも河本のほうが仕事があったそうです。互いにお金がなかった当時、河本のほうから『折半にする?』と切り出したのが始まりで、2022年にM-1グランプリで優勝すると、“毒舌”で鳴らす井口にピンの仕事が増えだす“逆転現象”が起きていました」(スポーツ紙デスク)

 河本の今後について、太田社長は「自分で稼いでもらう」と話すが、今回のように不祥事を原因としなくても、時を経て「折半」制を解消したコンビは少なくない。

「今年3月に解散した『ANZEN漫才』のみやぞん(39)とあらぽん(38)も結成当初にはギャラを折半にしていました。こちらも当時はあらぽんのほうがCMなどの仕事に恵まれ稼いでいたことから、あらぽんから『食えないだろ?』とみやぞんに折半を提案。しかしその後、みやぞんがブレイクすると、あらぽんから“もういいよ”と折半解消の申し出があり、数年前には歩合制に戻していた」(同)

あの大物コンビも「ギャラ折半」

 お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の鈴木拓(48)も過去、「15年間にわたってギャラを折半してもらっていた」ことをテレビ番組で告白している。俳優としても活躍する相方・塚地武雅(52)に折半解消を申し出たのは鈴木のほうだが、理由は鈴木が妻から「折半をやめてほしい」と懇願されたからという。「ギャラを折半していることを知る近所の人から、奥さんが『心苦しくない?』などと声を掛けられることに耐えられなくなった」(同)ためという。

 一方で、売れてからも「ギャラ折半」を貫く“意外なコンビ”の名前を挙げるのは、さるお笑いライターだ。

「『おぎやはぎ』の矢作兼さん(52)と小木博明さん(52)も『ギャラ折半』を公言しています。その理由について、矢作さんは“(ピンの仕事で)自分だけもらうと、小木が頑張ろうとしちゃう。頑張ったらそれは小木じゃなくなる”と説明。また京大出身の高学歴芸人として知られる『ロザン』の宇治原史規さん(48)と菅広文さん(47)もギャラ折半を公表済み。クイズ番組で活躍する宇治原さんが“賞金を相方と分けていれば、ネガティブな印象を持たれることはない”とのイメージ戦略も兼ねて、菅さんから提案したそうです」(同)

「折半しない」コンビの意外な理由

 松竹芸能を退社後、13年に個人事務所を立ち上げたお笑いコンビ「さらば青春の光」も独立以降、マネージャーを含め「ギャラを3等分」していることで知られる。その理由を森田哲矢(42)は「(相方・東ブクロが)折半やめた瞬間に1人でメッチャ稼がれたらイヤ」だからと答えている。

 実はお笑い界では、ギャラを分けないコンビのほうが多いとされ、有名なところでは「麒麟」や「サバンナ」が挙げられるという。

「『麒麟』の川島明さん(45)は今でこそ朝の情報番組『ラヴィット!』(TBS系)のMCを務めるなど大ブレイクしましたが、最初に注目されたのは著書『ホームレス中学生』が225万部を売り上げた相方・田村裕さん(44)のほうでした。もともと“コンビのルールがあって、働いた分は自分でもらっていた”と結成時から歩合制を取っていましたが、田村さんの本が大ベストセラーになったことで、川島さんは『(当時の)年収に9000万円の差がついた』と嘆いていました。また『サバンナ』の八木真澄さん(49)も相方・高橋茂雄さん(48)が売れたことで『(収入が)6倍違った』と告白しています」(同)

 他にも、コロコロチキチキペッパーズのナダル(39)はギャラ折半を取らない理由として、「(相方・西野創人の)向上心がなくなる」心配を挙げている。また3年前に個人事務所を設立して自身が社長を務める、お笑いコンビ「ラランド」のサーヤは相方のニシダを社員として雇用。ニシダへは固定給を支払っており“収入格差はあって当然”とのスタンスだ。

「ギャラ折半を選んだ背景には深い“コンビ愛”が感じられるケースも多く、一方の歩合制を取るコンビは互いに切磋琢磨している印象。どちらが良いとかいう話でなく、芸人としての“生きざま”が反映されているようにも感じます」(同)

「自立」を強いられた河本の再起はいつか。

デイリー新潮編集部