今年は東大43人合格

 首都圏の中学受験が過熱化の一途をたどっている。受験生は9年連続で増加しており昨年は私立中と公立中合わせて約5万3000人、およそ5人に1人が受験したという。とくに東京大学本郷キャンパスがある文京区は2人に1人が中学受験に挑戦しているというから熾烈だ。

「文京区内には東大、東京医科歯科大学、お茶の水女子大学といった国内最高難易の国立大学のほか、病院を持つ順天堂大学、中央大学法学部、日東駒専の中でも人気が高い東洋大学など多くの私立大学があります。何より、国内トップの難関女子校として知られ今年63人の東大合格者数を輩出した桜蔭高が区内にあるので、有名大学進学を願って子どもに中学受験させる親が多いのです」(教育ライター)

 東大合格者数といえば、真っ先に名前があがるのが私立男子校の開成中学・高校(東京・荒川区)だ。東大合格者数は43年連続で全国1位。昨年は148人、今年は149人もの合格者を出した超難関進学校だ。近年は東大一辺倒ではなくグローバルな活躍を視野に入れた教育を実施。校長も「ますますグローバル化が進む時代の中で、国内外で高度な語学力とコミュニケーション力を持って、多くの人から信頼されるリーダーシップを発揮してほしい」と呼びかけている。

 確かに開成の合格実績を見ると、昨年は東大だけではなくアメリカのワシントン大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、同ロサンゼルス校、ケンブリッジ大学など海外の大学に延べ9人が合格している。しかし、この中から実際に進学したのはプリンストン大学とケンブリッジ大学の2人だけで、国際化への道のりはまだ途中といえそう。

 その一方で、グローバル化の最先端をゆくある中高一貫校が人気化しており、超難関校を蹴ってまで進学する子どもたちが続出しているという。受験生を持つ親も熱い視線を向けているその学校とは渋谷教育学園だ。

全国屈指の難関進学校へ

「同学園には千葉県の渋谷教育学園幕張中高(渋幕)と東京都渋谷区に校舎を構える渋谷教育学園渋谷中高(渋渋)がありどちらも男女共学です。渋幕は昨年74人、今年64人の東大合格者数をたたき出し、渋渋も昨年40人、今年43人の東大合格者数を出していますから両校を合計すると開成に次ぐ2位に躍り出ます。特に渋渋の前身は女子校の渋谷女子高校でバブル時代、ジュニア世代の雑誌「プチセブン」の読者投票で“かわいい制服ナンバーワン高校“に選ばれるなどコギャルの代名詞のような学校でした。渋渋として共学になってからは帰国子女を積極的に受け入れて語学に力を入れ、今では全国屈指の難関進学校へと変貌したため、“渋渋の奇跡”と呼ばれています」(同)

 中学3年生から希望者は英語以外に中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語のコースがあり、渋幕との合同で中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ、イギリス、シンガポール、ベトナム研修が用意されている。昨年、渋渋からはニューヨーク大学、ノースウエスタン大学、エール大学、ワシントン大学、カリフォルニア大学バークレー校、同ロサンゼルス校などに延べ40人近い生徒が合格した。実際の進学者数は公表されていないが、開成に比べてケタ違いに多いのは確かだろう。

 前出の教育ライターはこう予想する。

「帰国子女が多いため英語に興味を持って得意科目になる生徒も多いですし、共学志向が高まる中、開成や麻布、桜蔭や女子学院など男子御三家、女子御三家と呼ばれる都内超難関校より渋渋を第1志望にしている生徒も増えています。渋谷と原宿の間の商業圏に位置しているため校庭がないのですが、生徒たちは『代々木公園が私たちの校庭です』と屈託がありません。開成や桜蔭に漂う“東大一辺倒”といった空気もなく自由な校風なので、コロナ明けで海外移動ができるようになった今後、ますます人気化していくのは間違いありません」

 渋渋については、秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまが17年9月に、お忍びで文化祭を訪れたことが確認されている。当時、小学5年生だった悠仁さまは、中高一貫校も視野に入れて進学先を探されていた。

 国際化をうまく取り入れ、共学志向のニーズをつかんだ渋渋の快進撃は今後も続きそうだ。

デイリー新潮編集部