「ストーカーみたいに、アイツは殺しちゃったんだろ」

 東京・新宿区で平澤俊乃さん(25)が刃物で刺されて死亡した事件。平澤さんの祖父が孫を失った悲しみにくれる一方、和久井学容疑者(51)の父は「ストーカーではない」とした上で、事件前の息子の“異変”について語った。

 ***

「あんな奇麗な子が、なんで殺されなきゃいけないんだ。俺は……情けない」

 そう振り絞るような声で話すのは、5月8日、東京・西新宿のタワーマンション前で刺殺された平澤さんの祖父だ。

 彼女の母方の祖父であるこの男性は、手元のスマホに映し出された孫の笑顔を見返しながら、こう続ける。

「こんな美人なんだなぁって、改めて写真を見て分かったよね。それを自分のものにしようって、ストーカーみたいに、アイツは殺しちゃったんだろ。もう死んじゃったんだもん。どうにもならんわな……」

「女がだまそうとして、それに引っかかっただけ」

 一方、事件を逆の立場から見るとどうなるか。

「ウチのボウズが、1000万円以上を彼女に渡したのは間違いない。親として“だまされているんじゃないか”と言ったんだけど、“そんなことするような子じゃない。いい子だ、おとなしい子だ”って、全然聞く耳を持たなかったよ」

 と明かすのは、逮捕直前まで和久井容疑者と同居していた父親だ。自宅のある神奈川県川崎市で、宅配便やバイク便のドライバーとして生計を立てていた息子の異変について、こう振り返る。

「突然、彼女と結婚するから家を出るって言ってさ。彼女へ金を渡した途端、店に行っても冷たくされてケンカになっちまった。それで倅(せがれ)が“金返せ”って言ったら、店を出禁にされてストーカー扱いされたと。世間ではさんざんストーカー野郎とか言われているけど違うよね。女がだまそうとして、それに引っかかっただけでしょ。バカだから」

「ハタチ過ぎの時、ウチのボウズがボコボコに殴られ……」

 和久井容疑者のSNSを見ると、3年前に自分の大事な“宝物”を立て続けに売り払って金に換えていた。ホンダの真っ赤なスポーツカー「NSX」と、同じ色のオートバイ「NR」。状態にもよるが、各々1000万円超の値打ちがある“マニア垂涎”の逸品だ。

「車やバイクをかわいがっていてさ。買ってから20年ちかくたつ車なのに、毎日毛布やシートをかぶせて、その上に自衛隊が使うような折りたたみテントを張って雨露をしのいでいた。それらをどんな思いで売り払ったのか。車やバイクへの情熱を女に向け変えたってことなんだろうけどさ。ハタチ過ぎの時、バイク仲間ともめてウチのボウズがボコボコに殴られたことがあってね。顔も膨れ上がり入院したんだけど、相手が母子家庭でかわいそうだからと警察には訴えなかった。元々そういう子なんだから、今回は最後の最後まで追い詰められてしまったんだよ」(同)

 むろんいかなる理由があろうと殺人が正当化されるはずもない。亡くなる前日までやり取りをしていた、平澤さんの友人がこう話す。

「彼女いわく、彼は大金を貢ぐ以前から、配送関係の仕事をしていたためか彼女の家をなんとか突き止めて、真っ赤なスポーツカーで新宿のタワマンに乗りつけて来たり、執拗(しつよう)に連絡してきたそうで、ストーカー化していたことに思い悩んでいました」

 5月16日発売の「週刊新潮」では、この友人が明かした平澤さんの素顔などと併せて詳報する。

「週刊新潮」2024年5月23日号 掲載