巨人の“スガコバ”バッテリーの女房役に注目が集まっている。4月11日のヤクルト戦で「3年ぶりの決勝打」を放った捕手の小林誠司(34)だ。巨人ファンの間では、小林の出番が増えるに連れ一部の熱狂的な女性ファンが“過激化”していくことを不安視する声が出ている。

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ポテンヒット一つで大騒ぎに…

 渋い一打だった。

 6回2アウト2塁。ヤクルトの高橋奎二がインコースに放ったストレートを跳ね返したボールは、詰まりながらレフト前に“ポテン”と落下。2塁走者の佐々木俊輔が激走し、ホームにヘッドスライディング。0対0の均衡を破った。

 一斉にオレンジのタオルがはためき大歓声が上がるライトスタンド。1塁側ベンチも総立ちで、グラウンドに飛び出しかねないくらいの喜びようだった。結局、これが決勝打となり、巨人は今季初の3連勝で菅野は2勝目。当日のスポーツ番組はお立ち台に上がった小林を大きく取り扱った。

 優勝争いがかかった試合でもあるまいし、なぜポテンヒットひとつでここまでの騒ぎとなったのか。答えは試合後に菅野が語った言葉に表れている。

「こんな言い方をしちゃいけないけど、多分、誰も点が入ると思ってなかったんで…」

 女房役を茶化した冗談ではあるが、巨人ファンの多くが思っていたことだ。「582日ぶりの打点」「3年ぶりの決勝打」とスポーツ紙が報じたように、小林は“打てないキャッチャー”としてこの数年、不遇の選手生活を送ってきた。

昨季は3番手に甘んじていた小林

「今年11年目の中堅選手ですが原辰徳前監督に起用してもらえず、トレード話も絶えなかった。昨季の出場試合はわずか21試合。もう一人の捕手の岸田行倫にも遅れを取り、3番手に甘んじた。チャンスが巡ってこなかった理由は打てないばかりでなく、同じポジションに打力では叶わないライバルがいるからです」(巨人軍関係者)

 昨季16本の本塁打を放ち、長打率が4割を越えた大城卓三(31)である。だが、阿部慎之助新監督は今季オープン戦で調子が良かった小林を再評価したようだ。

「自身も捕手だった阿部さんは、小林のリードのうまさを評価している。特に同級生コンビである菅野との相性は抜群で、『菅野が投げる時は任せるつもり』と話している」(同)

 中堅捕手の覚醒に勢いづく巨人であるが、ある巨人ファンは一抹の不安を覚えるという。

「もちろん小林にはどんどん活躍してほしい。チームメイトから『もっと打ってよ』と茶化されるくらいの愛されキャラだと聞いていますしね。問題なのは小林の熱狂的な女性ファンたちなのです」

坂本勇人に匹敵する人気

 小林の人気は凄まじいという。

「たまにしかスタメンに入らない選手がここまで人気なのも珍しい。ファンの数は坂本勇人以上かもしれない」(前出・ファン)

 ほとんどが女性で、リスのパペットやぬいぐるみを持っているという。

「巨人では、坂本はライオン、丸はマルチーズなどと主力選手を動物キャラクターに変えてグッズを販売しているのですが、小林のリスの売れ行きはライオンに引けを取らないと言われています。昨季、坂本の安打数が116本に対して小林が1本だったことを考えると怪奇現象と言っても過言ではない」(同)

 女性に人気のワケは芸能人顔負けの甘いマスクにある。先のチーム関係者も尋常ではない人気ぶりをこう語る。

「昨年12月にお台場の映画館でチームメイトの松原聖弥と二人でクリスマストークショーを開いたのですが、平日にもかかわらず1万円もする一般指定席、東京ドームの宿泊付き3万8000円のプランが即日完売した。ほとんどが小林目当ての女性です。小林が今年1月に大阪・貝塚市の日本生命グラウンドで行った自主トレにも、毎日のように数十人のファンが詰めかけていた」

SNSでもリスの絵文字を多用

 もちろんルックスに惹かれて応援することが悪いわけではない。先の巨人ファンによれば、小林ファンの問題は「口の悪さ」だという。SNS上での言動が“過激”かつ“排他的”で、ファンの間で不協和音を生んでいるという。

「信者のように盲信的なので『コバシン』と呼ばれています。彼女たちは、小林さえ活躍すればいいという考えで、“天敵”は大城です。大城がチャンスで打てなかっただけで、『大城はやっぱりダメだ。コバを出せ!』。ピッチャーが打たれても『大城のリードが悪かったから』。報知が大城を持ち上げる記事を書いたら『偏向報道』と叩く。巨人が負けた原因は『コバが出なかった』からで、二言目には『コバを出せ!』です」(前出・ファン)

 前出のチーム関係者も、

「野球なんて好き勝手に論評しながら楽しむものではありますが、いくら何でもメチャクチャとチーム内でも笑い話になっています。コバシンはSNS上でも、リスの絵文字を多用しているのですぐにわかります」

 昨季までは原氏への攻撃が凄まじかったという。

「大城と原監督が同じ東海大相模出身であることを挙げ、『情実で起用するな』と。これから阿部監督が小林を冷遇しようものなら、ターゲットにされるでしょうね。すでにキャンプが2軍スタートだったことで猛批判を浴びていましたから」(同)

 もちろん全ての小林ファンが過激なわけではない。“かわいいリス”に紛れた噛みつき癖のあるリスに要注意。

デイリー新潮編集部