長身に分厚い胸板は、現役時代にテレビを通して見ていたままだった。

 阪神、西武などで活躍したクレイグ・ブラゼル氏(43)が甲子園で行われた中日戦の「ファーストピッチセレモニー」に登場した。一塁側ベンチから姿を現すと、虎党の盛大な歓声と拍手に迎えられた。自身の応援歌に乗って左打席へ。マウンド上の岩田稔氏が投じた一球は“危険球”となり、ブラゼル氏が右手でキャッチするハプニングとなった。

 「最後の打席も死球だったので、10年ぶりにキャッチできた」と豪快に笑い飛ばした。日本での最後の打席となった、14年7月14日のソフトバンク戦の第2打席は確かに死球だった。抜群の記憶力に驚くばかりだ。

 阪神には09年から12年まで所属し、10年には47本塁打を放った。「ファンの熱意、情熱を思い出した」と12年ぶりの聖地を懐かしんだ。連覇を目指す岡田阪神へ「今年は今年で前を向いて進むしかない。頑張ってほしい」。“ブラッズ”のエールに応えてほしい。(山本直弘)