2024年からスタートした新NISAの「つみたて投資枠」は旧・つみたてNISAの投資信託がほぼそのまま引継がれています。「つみたて投資枠」では、金融庁が認定した投資信託の中から選ぶことができます(金融機関によって投資信託の取扱いは異なる)。気を付けなければならないのは、金融庁が認定したからといって、低コストや好成績の投資信託ばかりではないということ。現在好評発売中の『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門』から、投資信託を選ぶときの3つのステップと、つみたて投資枠で買える投資信託の5年間積立てた時の積立成果上位15本を公開します。

自分の 資産全体のバランスを考えて
何を買うのかを決める!

 つみたて投資枠の対象の投資信託は、274本。日本株や先進国株、米国株、新興国株の指定の指数に連動する株式インデックス投資信託が116本。株式や債券やリートなどを組合わせる資産複合型(バランス型)の投資信託が109本。残り49本がアクティブ型やETF(上場投資信託)です。(※2023年12月25日現在)

 投資信託選びの1つめのステップは、まずは株なのか債券なのかリートなのか、投資先を決めること。資産増を狙うなら、初心者でも値動きが比較的大きい株式型を選んでもいいでしょう。というのも、積立投資は時間の分散ができ、長期で投資を続けるほどリスクを抑えられるからです。

 2つめのステップは、どの国や地域を選ぶかです。これは、自分の資産全体のバランスを考えて決めましょう。たとえば、別の口座で日本株を保有しているなら、つみたて投資枠では米国株型や先進国株型を選ぶ。その逆もしかりです。

 投資の格言で「卵は1つのカゴに盛るな」というものがあります。卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした時に全部の卵が割れてしまうからです。投資先も同じで、何が起きるかわからないので、資産が1つの投資先に偏らないことが重要なのです。

 ネット証券では、100円から積立ができるので、少額から始めたいという人も、複数のタイプの投資信託を何本か積立てることができます。最初は少額からいろいろな投資信託を積立ててみて、値動きに慣れてきたら、絞込むのもアリです。

インデックス型は信託報酬が低い投資信託を選ぶ

 投資先が決まったら、最後の3つめのステップは、コストや成績で絞り込むことです。これは、自分が投資したいタイプによって重視する基準が変わります。

 指数に連動し初心者向きなインデックス型は、投資すると決めた投資先の投資信託の中で、信託報酬が低いものを選びましょう。信託報酬は保有している間日々、差引かれるコスト。低いほうが有利です。

 一方、指数を上回ることを目指すアクティブ投信の場合は、成績が重要です。同じ投資先の投信同士で、同じ期間の成績を比べて好成績の投資信託を選ぶのが正解です。

 また、株式インデックス型に並ぶ本数が用意されているのが、複数の投資先に投資する資産複合型(バランス型)です。資産複合型は、投資先の割合によってリスクがまちまちです。債券の割合が高いほど低リスク。そういった投信は、慎重な人、または、高いリスクを取れない高年齢の人向けです。一方、株式の割合が高い資産複合型は高リスクです。資産複合型は投資先の割合をよくチェックして選ぶようにしましょう。

直近5年の積立では米国株型が成績上位に

 つみたて投資枠の対象の投資信託を月1万6667円、5年間(計100万円)積立てた場合の成績上位15本を見てみましょう。つみたて投資枠の対象の投資信託の中で、23年9月末時点で5年以上運用実績がある187本が対象です。

 上位10本中9本が、米国株型。100万円の元本に対して60万円以上も利益が出ている投信が9本もありました。先進国株型や全世界株型も50万円以上の利益をあげ好成績です。こうしてみると、コロナ禍初期は株価の大きな下落があったものの、海外株の積立投資は利益が順調にあげられていたことがわかります。

 成績がマイナスになった投資信託は187本中3本。低リスクの資産複合型(バランス型)は成績下位です。資産の一部で投資することを考えると、つみたて投資枠では多少のリスクをとって株式型に投資するのがオススメです。

※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った新NISA入門』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。