4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より。堂本光一による計4回のフライングのラストは独自の“傘フライング”で美しく魅せる(撮影/松永卓也・写真映像部)

「2024年、この『SHOCK』、ラストイヤーというふうに考えております。自分が21歳のときに、帝国劇場で初めて『SHOCK』の幕を開けさせていただきました。そこから25年目。帝国劇場が改修工事に入るということで、この作品はずっと帝劇とともに歩んできた作品ですので、今年をもって幕を閉めるという決断をいたしました」

 4月9日。2幕で2時間半を超える舞台「Endless SHOCK」の公開通し稽古を終えた堂本光一は、充足感に満ちた顔つきで、改めてそう報告した。

SHOCK名物ともいえる“階段落ち”。堂本光一が20段以上を勢いよく転がり落ちるさまは圧巻で息を呑む。4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より(撮影/松永卓也・写真映像部)

 初演は2000年11月。帝国劇場史上最年少の座長として当時21歳の堂本光一が帝劇初出演・初主演を務めて以来、毎年上演し続けてきた「SHOCK」シリーズ。2025年2月に現・帝国劇場がクローズするにあたって、2024年11月の公演をもって「SHOCK」シリーズも終幕する。4月11日から「Endless SHOCK」本編と、その3年後を描くスピンオフ「Endless SHOCK-Eternal-」を同時上演するにあたり、堂本をはじめとするキャストによる開幕記念会見と公開通し稽古が行われた。

4月11日に開幕する「Endless SHOCK」本編と、その3年後を描くスピンオフ「Endless SHOCK-Eternal-」。同時上演にあたりキャストによる開幕記念会見が行われた。左から、中村麗乃、島田歌穂、佐藤勝利、堂本光一、前田美波里、越岡裕貴、松崎祐介(撮影/松永卓也・写真映像部)

 記者会見に現れた堂本は「SHOCK」シリーズのラストイヤー開幕を前に「いつも通りに稽古をやって、いつも通りに幕が開くのではないでしょうか。(ライバル役の佐藤)勝利も直前まで舞台をやっていたが頑張ってくれた。良いかたちで本番を迎えられると思う」と口にし、最後ではあるが、あくまでもいつも通りであると強調した。

劇中劇の「ジャパネスク」パートでの激しい殺陣も毎回の見どころ。鬼気迫る表情の佐藤勝利(左)と堂本光一。4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より(撮影/松永卓也・写真映像部)

 

コウイチ(堂本光一)が率いるカンパニーがショーを続けるオフ・ブロードウェイの劇場のオーナーを演じる前田美波里。4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より。島田歌穂とのWキャスト(撮影/松永卓也・写真映像部)

2013年からオーナー役を務めてきた前田美波里が「今年は初心の気持ちを忘れずに1回1回丁寧に演じたい。寂しいです」といって泣き真似をすると、「泣いてますか?」と反応したレポーターに、堂本が「松崎(祐介)が泣いてます(笑)」と言って、共演者であり事務所の後輩であるふぉ〜ゆ〜の松崎に話を振り、「家族のような」と堂本が表現する、気心の知れた間柄だからこそのやりとりが展開された。

 
ラストイヤーを前に前田美波里の「寂しいです」というコメントを受けて「松崎(祐介)が泣いてます」という堂本光一の無茶振りにも、即座に対応するふぉ〜ゆ〜の松崎(右)と越岡裕貴。「Endless SHOCK」開幕記念会見より(撮影/松永卓也・写真映像部)

 ライバル役が3年目を迎えた佐藤勝利は、「15歳の時に初めて見た『Endless SHOCK』が自分にとって初めてのエンタメ。右も左もわからなかった状態から光一くんに憧れて、『Endless SHOCK』ラストイヤーで役として光一くんと肩を並べさせてもらえるのは光栄です。一生懸命頑張ります」と気合を見せる。

堂本光一(左)と佐藤勝利が、立ち位置を次々に入れ替えながら太鼓を叩く終盤のパフォーマンスも圧巻。4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より(撮影/松永卓也・写真映像部)

これを受け、「ラストイヤーという感覚はない」「不思議な感覚」と語った堂本は、「ありがたいことに大阪公演も博多公演もあり、11月にはまた帝劇に戻ってきます。2000年に打ち上げ花火が上がるように『MILLENNIUM SHOCK』が始まったように、打ち上げ花火のようにいっぱいやろうということで、たくさん演じさせていただきます。みなさんにまず感謝をしたい」と、2024 年4月22日の公演でついに 2000 回を達成し、5月9日には、国内演劇における単独主演記録2017回を超え2018回を達成し、単独1位となる見込みの前人未踏の作品を支えてくれた人たちに対して感謝を述べた。

堂本光一作・構成・演出・主演の「Endless SHOCK」開幕記念会見で、佐藤勝利が所属する「timelesz」オーディションの話題に。「意外と赤いバラも似合うぜ」とアピールする堂本光一に恐縮する佐藤(撮影/松永卓也・写真映像部)
堂本光一作・構成・演出・主演の「Endless SHOCK」開幕記念会見。左から、佐藤勝利、堂本光一、前田美波里(撮影/松永卓也・写真映像部)

「ラストイヤーの実感はまだ持てていません。お客さんもそうですが、自分も一つひとつのシーンを目に焼きつけながら、みんなとの時間を大事にしながら、いつも通りのSHOCKの世界でとりあえずここから2カ月生きられるのは嬉しいことです」と感慨深そうに会見を締めた堂本。

続く通し稽古では、階段落ち、客席上空のフライング、殺陣等、「SHOCK」シリーズ恒例の体を張ってのエンターテインメントが次々と披露された。「SHOCK」シリーズの信念であり、堂本自身の軸でもある「SHOW MUST GO ON!」という言葉の意味を問い続ける唯一無二のショウが展開され、有終の美に向けてのカウントダウンが始まった。

冒頭の堂本光一のフライング。美しく宙を舞う姿は、鍛えた筋肉があってこそ。4月9日の「Endless SHOCK」公開通し稽古(ゲネプロ)より(撮影/松永卓也・写真映像部)

5月7日発売予定の「AERA」5月13日号には、本記事とは異なる、この公演の写真とレポートを掲載予定だ。

(ライター・小松香里)

*「AERA」オリジナル記事