40歳になったベッキー

 これは復活の狼煙なのか。現在、テレビ東京系で放送中の連続ドラマ「君が獣になる前に」で金髪の殺し屋役を怪演しているのは、タレントのベッキー(40)。実際に髪を金色に染め上げ、普段のベッキーからはイメージできない冷酷な役を演じ、原作マンガのキャラにそっくりだとSNSでも好評のようだ。

 インスタグラムに投稿した自身の金髪姿には2万以上の「いいね!」がついているが、本人は「黒髪に戻すのも勿体無いなぁ。何か、金髪ならではのお仕事ないですか?」とコメント。今後は“金髪ベッキー”として歩み出すのか。

「どうしてもバラエティーのイメージが強いですが、もともとベッキーさんの演技力には定評があり、今までもいろんな役を演じています。特にここ数年は、映画やドラマで存在感のある役をきっちり演じ切り、作品で爪痕を残す女優として業界内では評価も高い。彼女は根が真面目なので、もともと役作りをしっかりやるタイプでしたが、今回の金髪姿には新機軸を感じさせますよね。もちろんまだアンチもいて、『金髪が似合ってない』『こんなドラマ誰が見るの?』などと否定的な意見もあります。しかし“ゲス不倫”から約8年がたち、ベッキーさんも結婚して今や2児の母。もうそろそろ禊は終わったと思っている人も多いのではないでしょうか」(民放ドラマ制作スタッフ)

 若くしてバラエティー界で大ブレークし、「みんなのベッキーだよ」と笑顔を振りまいていた頃の好感度が高すぎただけに、その振り幅から「生理的に受け付けない」という人が今も一定数いるのは事実だ。

不倫騒動の際に記者会見するベッキー(2016年)

■ベッキーが「正義」を語ると炎上

「あの事件が衝撃的すぎたというのもありますが、ベッキーさんだけが要因ではないと思うんです。というのも不倫相手だったミュージシャンは騒動以降も普通に活動を続け、メディアに出続けていたので、なかなか風化しなかったという側面もあります。しかし、誰にだってやり直す権利はありますし、女優として評価を上げていくことは、否定派を黙らせるひとつの突破口になり得るはず。これだけお芝居に定評があるわけですから、舞台なども含めもっと女優業の幅を広げていくべきだと思います。バラエティーでの発言は何かとあげ足を取られる時代ですし、プライベートをさらけ出すことを求められるバラエティーではない世界で返り咲いてほしいですね」(同)

 最近では、ママタレントとしての発言がよくネットニュースにもなっている。その活路について、バラエティー番組を多く手掛ける放送作家はこう期待を寄せる。

「やはり場数が違いますから、その辺のタレントよりも空気は読めるし、裏回しもできる。若槻千夏さんもいつの間にかサラっと復帰して安定のタレント力を発揮されていますが、ベッキーさんも平場の動きがうまいので、MCからするととてもやりやすいという声をよく聞きます。世間の主婦からの不平不満を共有できる“代弁者”になれたら、立ち回り次第では主婦のカリスマになれる可能性は十分にあると思います。ただ、少し前にフワちゃんの遅刻癖について『フワちゃんに真面目を求めてどうするの?』と発言したところ、SNSでプチ炎上したように、やはりベッキーさんが“正義”や“善悪”を語ると反応してしまう人はいまだにいます。最近はママタレとしての発言がメインとなっているので、そこのチューニングを間違えると、また炎上キャラに戻ってしまう可能性もあるでしょうね」

これからは女優の道で再起を図る?

■若槻千夏が水面下でバックアップ

 バラエティー復帰については、水面下で若槻千夏が「ベッキーさん出してください」と各局に売り込んでいたことをベッキー本人がインタビューで語っていたこともある(「magacol」2月10日配信)。同記事では、40歳になったのを機に「子育ても少し落ち着きそうなので、自分をアップグレードしたい」と語っており、本格的にゲス不倫イメージからの脱却を試みているようだ。

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、女優としてのベッキーの可能性をこう語る。

「思い込みの激しい超勘違い女を演じた連ドラ初主演作『アンナさんのおまめ』(2006年)や『笑う犬』シリーズなどで、早くから演技に非凡な才能を発揮していました。近年では2019年の多部未華子主演の『これは経費で落ちません!』でも、わがままな社長秘書の役で味のある演技を見せていました。もちろん、不倫愛を発端としたバッシングは自らがまいた種ではありますが、そのベースとなった優等生キャラはある意味、メディアが着せていた部分も大いにあるでしょう。しかし、俳優としてはそんなさまざまな経験が演技や表現にプラスの作用として働くことも多々あると思います。これからは安易に好感度を取りに行かず、思ったことを素直に吐き出してほしいですし、40代に入って円熟味を増した彼女の演技をもっといろいろな作品で見てみたいですね」

 金髪になり心機一転、いよいよ“ゲス不倫”の呪縛から解放されるか。

(藤原三星)