正門良規/まさかど・よしのり 1996年生まれ、大阪府出身。「Aぇ! group」メンバー。5月15日に「《A》BEGINNING」でCDデビュー。バンドではギターを担当。2022年、デビュー前にソロコンサートを開催し話題を呼んだ。ドラマや舞台など、俳優としても活躍。(写真・木村哲夫)

「真面目で優しい」「気遣いの人」。Aぇ! group正門良規のことは、誰もがそう太鼓判を押す。日ごろ、ふんわりあたたかなオーラを振りまくが、アイドルとしての在り方を問われると、決して揺らぐことのない信念が覗く。努力を重ねてきた者だから語れる、〝頑張ることの哲学〟があった。週刊朝日2023年5月5-12日合併号より

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──Aぇ! groupの強みは何ですか?

 やっぱすごい個性的で、何かに秀でてるメンバーが集まってるので、そこは武器やなと思いますね。メンバーそのものが武器な気がします。

 最初は(個性が強みになるとは)全然想像つかなかったですね。(グループ結成前から)一緒に活動してたメンバーではなかったので、たしかに各々いろんなことはできるけど、それがどう繋がんねやろう、重なってるとこってどこなんやろうって思ってました。でもそこはみんなやっぱり、歌って踊るっていうベースがあって、なんか楽しくできてるなって感じがします

──グループを結成してから、「やっていける」と自信を持てるようになったタイミングはありますか?

 ファーストライブツアー[Aぇ! group First Live Tour 2019〜ボクたちがやっちゃってAぇ! んですか?〜]かな。初めて単独でライブやるってなって、パフォーマンスを見てくださったスタッフさんとかアイドル誌でお世話になってる方とかが、「すごい盛りあがってたね」って。

 コンサートってグループのアイドル性とかカラーが改めて出る場所じゃないですか。だからそこを褒めてもらえたのはうれしかったですね。

──最近、グループにAぇ!風が吹いていると感じることは?

 メンバーのスケジュールを聞いてると感じますね。「何してたん?」とか「今週どんな感じなん?」みたいな話になったときに、(草間)リチャ(ード敬太)くんとか、もうしょっちゅうDASH[ザ!鉄腕!DASH!!]を含めバラエティーで各地飛び回っているので、すごいなーと思います。(佐野)晶哉もめちゃくちゃテレビ出てるし。

 あとは大阪やったら梅田駅にけっこうコンスタントにポスターとか広告を出していただけたりとか、東京でも街なかでAぇ!に会うときがちょこちょこ出てきて。

──今までで、一番しんどかった時期は?

 意外とないんですよね。最初は仕事なんていう意識持ってなかったし。20歳のころ「少年たち(世界の夢が…戦争を知らない子供達)」っていう舞台でメインキャストに選ばれたんですけど、それまではのらりくらり楽しんでたというか。

 楽器にすごい興味がいってた時期やったし、ちょうどお仕事も減ってきて、このまんま辞めて楽器について学びに行こうかなって考えてて。別に悔しいとか、つらい決断とかいうわけでもなかったです。いいのか悪いのかわかんないですけど、挫折とかそんなドラマチックなことはなんにも。

 でも初めて「少年たち」で舞台やらしてもらって、お芝居楽しいなーってなって、そのへんから楽器もパフォーマンスでやらしていただけるようになって。で、まあ(関西Jr.に)仲いい人もいっぱいいるし、こんだけ好きなことできてんねやったら頑張ってみようかなって本気で思いはじめました。

俺、楽観的なんです。深く考えない。失敗したって、まあまあまあ勉強じゃないですか。なるようになるし、なるようにしかならんし。

Aぇ! group正門良規[表紙]/週刊朝日2023年5月5-12日号(写真・木村哲夫)

■「やってます感」はいらない

──舞台の楽しさとは?

 嘘がないっていうか、確実にお客さんの目の前で起こっているところ。(観客の反応は)日によって全然ちがうし、そのスリルも好きです。

──自分なりの役作りの方法はある?

 役者ゆうても本業はアイドルなんで、そんなたいそうなこと言えないです。今やってることが正解かもわからないし。だって大ベテランの先輩方が、いまだに役作りとは?みたいなことをやってる世界じゃないですか。だからこそ、全部正解としていろんな意見を聞けるから楽しいです。

 役作りって、今何してんねやろうな。まずは台本をいっぱい読んで、(その役が)物語の中でどういう人なのか考える。でも全然決めこまないです。セリフは情報として文字だけ覚えてる状態にする。

 っていうのも、最初すごい考えて考えて現場に行ったときに、監督さんにああしてこうしてって言われても対応できひんかったんですよ。相手の人がどうやってしゃべるかもわからへんから、一回いろんなパターンを想像して、考えてしゃべって練習して、もう現場行ったら全部まっさらにするっていうか、捨てます。

──セリフの暗記法は?

 部屋の中うろうろしながらとか、ずっと立って覚える。暗記力は並やと思います(笑)。不思議なもんで、ドラマは2話3話ってなってくると、パッて見たら(頭に)入っているときとかありますね。

──2022年の主演舞台「ヴィンセント・イン・ブリクストン」では、演出家の方に「心の奥のマグマを爆発させる」一面があると指摘されたとか?

 あ、そうですね。自分じゃ気づかれへんけど、演出家さんが見てて、(役として演じた画家の)ゴッホとリンクするところがあったんでしょうね。こういう部分っていうのは言語化しづらいなー。なんかパンクとかメタル好きな人って、実はけっこう静かな人多いみたいなことかな。内に抱えているものがあるみたいな。

■「趣味をお仕事にする系アイドル」

──自分の新たな一面やキャラクターも見せていきたい思いはある?

 全然全然。(いろんな面やキャラクターがあるのは)別に普通やし、みんな持ってると思ってます。今、普通に仕事してるでしょ? でも家帰ってずっとそうかというと、そうじゃないでしょう?家族とおるときと、友達とおるときと、初めましての人とおるときで変わるでしょう? それが普通なんですよ。

 だからファンの方といるときはもしかしたらよそ行きかもしれへんし、ロケしてるときもよそ行きかもしれへんし、それはみんなそうなるんちゃいます? 言いだしたらキリないっていうか。(自分を)変えてるつもりないし、スイッチとかもないです。

 芸人さんとかだと、やっぱ笑かさなきゃいけないし、キャラのイメージが先行することもあるかもしれないけど、俺は、アイドルはアイドルでもキャラクタライズしてないというか。まあ、それを「どうなん?」って思う人もいるかもしれないですけど……。

──「どうなん?」とは?

「頑張れよ」とか「やってますっていうのを出せよ」って思う人もいるかもしれないなと。でも、やってます感なんていらんやん、やってたらいいやんって。そのへん現代っ子なのかもしれへん。

人によっちゃ、「なんか生意気やな」「すかしてんな」と思うかもしらんけど、頑張ってる感出すのと頑張るのって違うじゃないですか。パフォーマンスで頑張ってもしょうがないから、パフォーマンスするために頑張るわけで、ほんまは頑張ってるよって。

──以前、本誌の取材で「趣味をお仕事にする系アイドル」と自己紹介されていましたが、新たに仕事にしたい趣味はありますか?

 お酒。もともと、ヤンタン[Aぇ! groupが水曜日のパーソナリティーを務めるラジオ番組「MBSヤングタウン」]では、〝おじリス[おじさんリスナー]〟っていう、Aぇ! groupのこと知らんかったけどラジオは聴くよ、みたいな人から、(お酒絡みの)お話いただくことがあって、ちょっとしゃべっていて。お酒のバラエティーとか呼んでいただけたらうれしいなと。酒飲みキャラ、いいかわからんけど(笑)。

──ご自身の特徴から、「ひげ門」「汗門」などの愛称をお持ちですが、今後ファンに呼んでもらいたい「〇〇門」は?

 あははは。どんな門やろうなー。えー、ムキ門(笑)。(2022年の)5月ぐらいから筋トレしてるんですよ。それこそヴィンセントやるらへんですね。で、楽しくなってきて、ちょっとハマっちゃった。今、週2、3は(ジムに)行ってます。

 まあゴリゴリにはなるつもりないし、そこまではできひんと思うけど、細マッチョになれたらいいなーぐらいの。腹筋割れて、あとちょっと胸と、広背筋とか背中ついたら、それキープできるぐらいがいいなーっていう感じ。上半身はそれなりに見せられる体にしたいなー!

(構成・大谷百合絵)

※週刊朝日2023年5月5-12日号