プロ野球選手はゴルフが上手なイメージがあります。棒状の用具を使ってボールを飛ばすという点は共通していますが、ボールが動いている競技と止まっている競技という大きな違いもあります。プロゴルファーから見て、野球選手がゴルフがうまい理由はどんなものなのでしょうか。

静と動の差はあっても芯で捉える感覚は共通

 プロ野球選手からプロゴルファーになった尾崎将司は有名ですが、現役のプロ野球選手でもスコアが60台や70台を出すような人は多くいます。なぜプロ野球選手はゴルフが上手な人が多いのでしょうか?

野球とゴルフは似通っている動きがある 写真:AC
野球とゴルフは似通っている動きがある 写真:AC

 現役のシニアツアープロでゴルフスクールも経営している梶川武志プロは、まず第一に野球選手の持ち前のパワーを挙げます。

「ゴルフは飛距離を出せると、かなり有利にコースマネジメントを行うことができます。野球経験者は練習で培ってきたパワーがあるので、飛距離を出せるぶんいいスコアになりやすいです」

 ただ、野球は動いているボールを打ち、ゴルフは止まっているボールを打つという決定的な違いがあります。向かってくるボールに反応して打ち返すのと自ら動き出してボールを打つのでは、パワーの生かし方も違ってくるのでは?

「動く球と止まっている球という違いはあっても、芯で捉えるという感覚は似ています。野球でもボールをバットの芯で捉えないと、遠くに飛ばすことはできません」

 その感覚を養うために野球選手が実践する練習もゴルフに生きる部分だといいます。

「野球ではティーバッティングという止まっているボールを打つ練習があり、バットの芯でボールを捉える感覚を磨くためにやっているそうです。これはゴルフのショットと類似しています」

「プロ野球選手は小さい頃から素振りやティーバッティングなどを多くこなしているので、ボールを芯で捉える技術が優れているのではないでしょうか。もちろん、プロ野球選手は筋力や体力もずば抜けているので、飛距離が出るだけでなく、ラウンドの後半になってもスイングが崩れにくいのも、スコアが良くなる大きな要因になります」

スローイングとアプローチの感覚に共通点

 また、野球のスローイングで鍛えられた優れたボールコントロール能力も、ゴルフがうまくなる要因の一つとなっているようです。

「とりわけ投手はボールをコントロールする能力が高く、特にアプローチやパッティングなどのショートゲームで役立ちます。アプローチに必要な距離感の出し方や細かいコントロールショットは、野球のボールに回転をかけたり、ボールのスピードを変えたりする感覚と共通していると思います」

 野球選手は持ち前の運動神経、身体能力はもとより、野球の練習自体がゴルフがうまくなる下地づくりとなっているため、成長スピードが速いといえそうです。

ピーコックブルー