練習場で多くの打席が空いているにもかかわらず、すでにいる人の隣打席をなぜか選択するゴルファーがいます。このような人たちのことを近年は「トナラー」と呼ぶこともあるようですが、なぜ隣打席を選択するのでしょうか?

空いているのなら隣ではない打席を選ぶのがマナー?

 昨今、SNSを中心に「トナラー」という言葉を耳にする機会が増えています。トナラーとは電車やバス、飲食店などで多くの席が空いているにもかかわらず、なぜか隣に座ってくる人を指す造語です。

 実際にSNS上では「歯医者の待合室でトナラーと遭遇した」「店の奥に駐車したのにわざわざなんで隣に止めてくるの?」など、さまざまな投稿が見受けられます。中には「ガラガラのゴルフ練習場で隣打席に来る人が嫌」という投稿もありました。

混雑時はもちろん仕方ないですが… 写真:AC
混雑時はもちろん仕方ないですが… 写真:AC

 基本的に練習場では黙々と練習に励むゴルファーが大半なので、空いているのであれば周囲に人が少なく気が散らない環境を好む人が多いかもしれません。それにもかかわらず、練習場であえてトナラーをしてくるゴルファーにはどのような理由が考えられるのでしょうか?

 公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟会長で、東京・世田谷区の「千歳ゴルフセンター」の代表取締役である横山雅也氏は、以下のように話します。

「最近はほとんど見なくなりましたが、あえてビギナーや女性ゴルファーの隣打席を選択して世間話やゴルフのアドバイスをしたがる人はいました。いわゆる“教え魔”ですが、現在は練習場側も注意をしたりと対策をしているので、遭遇した場合はすぐに受付やスタッフに相談するのがいいと思います」

 では、練習場が空いている場合は、なるべくほかのゴルファーと隣にならない打席を選択したほうがいいのでしょうか?

「練習場が空いているのであれば、個人的には空間を広く使ったほうがストレスなくお互い練習ができると思います」

「しかし、あえて隣打席を選択したからといって、それがマナー違反に当たるとは一概には言えません。空いているにもかかわらず隣にゴルファーが来て不快に感じるのであれば、打席を変えてもらうのがいいでしょう」

常連ゴルファーの“お気に入り”打席である可能性も

この打席でなければならない理由があるのかもしれません 写真:AC
この打席でなければならない理由があるのかもしれません 写真:AC

 一方、レッスンプロの三浦辰施氏はトナラーをしてくるゴルファーについて「その人のお気に入りの打席である可能性も」と言い、次のように話します。

「同じ練習場に長年通っている人の中にはお気に入りの打席があるゴルファーもいるので、ガラガラに空いていても、いつもの打席を選択している可能性があります」

「そのほかにも、その日の気分や練習内容によって打席を決めたいゴルファーも少なからずいるので、『今日は右端の打席で練習したい』『2階の左側で練習したい』など、その打席でなければならない理由があるのかもしれません」

「ただ、私自身は周囲に人がいないほうが素振りもしやすくストレスなく練習できるので、可能であればゴルファーと隣にならない打席を選ぶのがオススメだと思います」

 練習場でどの打席を選ぶかは、基本的にゴルファーそれぞれの自由でもあります。とはいえ、このように相手を不快にさせてしまう可能性もあるので、こだわりや特別な理由がない限りは、なるべくほかの利用者と間隔を空けた打席を選ぶのが空いてる状況では無難であると言えそうです。

ピーコックブルー