昔からパターのアドレスで「ボールは目の真下」といわれ、それを信じているアマチュアも多いですが、筒康博ヘッドコーチによると「プロではむしろ少数派」とのこと。今年の女子ツアー開幕戦でプロたちのパッティングストロークを計測した、「エイムプレーン」の開発者に話を聞きました。

女子ツアーで実測したら「ボールは目の真下」が間違いだった!?

 世界ではパッティングのアドレスで「ボールは左目の真下」などとはいわないのに、なぜか日本ではそれが正しいことのようにいわれてきました。

特許申請中のオリジナル計測器を使い、パッティングの「エイムプレーン」を計測、指導してもらいました
特許申請中のオリジナル計測器を使い、パッティングの「エイムプレーン」を計測、指導してもらいました

 実際にPGAツアープロや「パターの名手」といわれる選手のアドレスを映像で確認しても、「アドレスでボールは左目の下」な人は少数派で、世界的なパターブランドであるスコッティキャメロンも「ネックの上に目があるのが機能的なポジション」といっています。

 昔から「パットは型なし」とはいわれていますが、その中でも「うまい人の共通点」はあるはずです。それを見つけようと、世界特許申請中パッティング計測機器を作り女子ツアー開幕戦でプロのパッティングを調査した人物が「エイムプレーン」開発者でもある姜(かん)氏です。

パッティング計測機器をJLPGAツアー開幕戦に持ち込み、プロのパッティングにおける「エイムプレーン」を実際に計測した姜(かん)氏
パッティング計測機器をJLPGAツアー開幕戦に持ち込み、プロのパッティングにおける「エイムプレーン」を実際に計測した姜(かん)氏

 カスタムパターブランド「ゲージデザイン」をはじめ、パターの設計&開発に長年携わっている姜(かん)氏に直接「エイムプレーン」で計測してもらい、うまいパッティングと「目の使い方」にどんな関係があるのか話を聞きました。

 アマチュアの9割近くがパッティングのアドレスでターゲットとパターフェースの向きに加え、「目の向き」もズレていることが確認できたそうです。

パターがうまい人ほど「ボールを見る角度」が安定している

 長年カスタムパターブランド「ゲージデザイン」などでパターの設計&開発に携わっている姜(かん)氏は、国内外のトーナメントプロと接点があった経験から「ボールを見る目線」の角度「エイムプレーン」が個々で異なっている事実に気づいたそうです。

「VIEW1」計測器を使用して、パッティング時の「エイムプレーン(ボールを見る角度)」を計測
「VIEW1」計測器を使用して、パッティング時の「エイムプレーン(ボールを見る角度)」を計測

 そこで「VIEW1」計測器を一から開発し国際特許を申請しているそうです。今年の女子ツアー開幕戦でプロのパッティングを計測したところ、女子プロから「丸裸にされた」「すぐVIEW1が欲しい」といわれたそうです。

 パッティングアドレスの「ボールを見る角度」である「エイムプレーン」を測定すれば、長年日本でいわれていた「ボールは左目の真下」が絶対ではなく、利き目やボールが転がっていくラインをなぞる「目の使い方」が正しければ、狙ったところにボールを転がしやすくなることが分かり、パター選びやライン読みの精度も格段に上がるそうです。

「VIEW1」計測器は「エイムプレーン」角度を調整することができて、ボールが転がるラインを追う際に「両目がどこにあるか?」を可視化できるようになっています。

 ショートパットが外れる傾向が強いゴルファーほど、ラインから両目がすぐに外れてしまい、狙ったところにパッティングできていませんでした。この現象は、両目でみた画像を合成して1つの映像として認識する人間ならではの「ズレ」に起因していて、パッティングを難しくしている要因の1つでもあるそうです。

 まず「エイムプレーン」で重要なのは、両目とボールを打ち出す方向がそろっていること。いわゆる「入る気がする」と感じるのは目からの情報によるもので、逆に「入る気がしない」のは目線が何かしらのズレを感じているからだそうです。

「両目と首」を正しく動かせればパッティングは向上する

 パッティングの名手ほど、インパクト後の「両目と首」が正しく動くため「エイムプレーン」に沿って右目でラインを追うことができるそうです。

 実際に女子プロの計測をする際にも、プロ本人から具体的に悩みを聞き「利き目」に合ったアドバイスを行ったそうです。

「エイムプレーン(ボールを見る角度)」に沿って「右目で追う」ことができると、長い距離ほど左目が内側に外れていくのが正しい「両目と首の動かし方」
「エイムプレーン(ボールを見る角度)」に沿って「右目で追う」ことができると、長い距離ほど左目が内側に外れていくのが正しい「両目と首の動かし方」

 現在「VIEW1」計測器は世界に一台しかなく、完成次第順次販売も行なっていくそうですが、ハード面よりも「両目と首の動かし方」といったソフト面のアドバイスができることに大きな価値があると感じました。

 ゴルファーの多くは自分の利き目はもちろん「左右どちらの目でラインをなぞっているか?」なんて自覚している人は多くないはずです。

 プロでさえ「知らなかった」と目からウロコだった選手が多かったそうですが、「ボールは目の真下」の呪縛から解放されていないゴルファーは更にパッティングが難しくなってしまっているに違いありません。

「入りそう」な雰囲気やムードがある人のパッティングでは、「両目と首の動かし方」がキレイにラインに沿っているということなのです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール