多くの職種で人材不足が叫ばれている昨今ですが、ゴルフ場業界も例外ではありません。しかし、最近は「スキマバイト」といわれる働き方などが定着、活用している施設も多いそうです。

ゴルフ場の人材不足を救う「スキマバイト」

 最近、テレビコマーシャルなどででよく見る「スキマバイト」。週1日だけや、午前中だけなど自分の好きな時間に働けるアルバイトの形態ですが、最近はゴルフ場でもそんな人材が活躍しているそうです。

 ゴルフ場大手PGMグループでも、株式会社タイミーが運営するスキマバイトサービス「タイミー」を導入したというニュースがありました。人材不足の活路になるのかゴルフ場に現状を聞いてみました。

面接もない「スキマバイト」がゴルフ場の人材確保手段として定着しつつある 写真:AC
面接もない「スキマバイト」がゴルフ場の人材確保手段として定着しつつある 写真:AC

「当ゴルフ場でも『タイミー』から働きに来てもらっている人はいます。ゴルフ場は季節や天候によって来場者の数は大きく変わります。そのため業務全体を通して、忙しい時とそうでない時の差があるのです」と話すのゴルフ場関係者。

 朝のポーター(ゴルフバッグの積み下ろし)であれば、忙しい朝の早い時間帯だけ、レストランでも忙しい時間が限られているので、その間だけ来てもらえるアルバイトはありがたい存在だそうです。

 仕事内容もレストランであれば配膳や洗い場、キャディーマスター室ならバッグ運搬など、特別なスキルが必要ない仕事が募集されています。ゴルフ場側は「タイミー」などのスキマバイトサイトに「募集したい日時と職種」を登録、応募があれば面接なしで働いてもらう、といったシステムだそうです。

「タイミーで募集をすれば応募はすぐ来ますね。場合によっては5分で来ることもあります。1日働いてみて、バイトに来てくれた方はいい職場だと感じてくれればまた働きに来てくれますし、ゴルフ場側もそういった方をきちんと評価するシステムになっています」

 スキマバイトにはどんな人が来るのでしょうか。「レストランなら女性、マスター室ならバッグ運搬という力仕事が多いので男性が多いです。年齢は20〜60代と非常に幅広いです」

 スキマバイトだけでなく副業としてゴルフ場で働くことを選択している人もいるそうです。

「当ゴルフ場では平日は別の会社で働いて土日だけレストランなどで働いている人がいます」と話すのはあるコースの支配人。

「コース課には普段は農家をやっている人が、冬の間など本業がオフシーズンの時にだけ働きに来ていたこともありました」

 ゴルフ場周辺は農地が多かったりするので、そういった副業人材を確保することも多いそうです。

 スキマバイトや副業以外の人材確保として多くのゴルフ場が活用しているのが「ボランティア人材」です。栃木県北部のゴルフ場ではボランティアの方がコース管理の一部作業をもやっているそうです。

「東北地方を中心としたフリーペーパー『みちのくゴルフタイムス』が中心となって行っているもので、当ゴルフ場でも実施しています。ボランティア業務の内容はコース内の雑草取りや目土といった軽作業です。参加してもらった方にはコースの招待券をプレゼントしています。何度か参加しているとコースに愛着が湧いてくるみたいでメンバーになった人もいますよ」とのことでした。

様々な雇用形態が人材不足解消の活路となる

 ゴルフ場は過疎地に立地していることが多く、なかなか人材が集まらないといわれています。そんな悩みを解消してくれるのがスキマバイトだそうです。

 フルタイム雇用でなくとも、「忙しい時間だけでも人材の確保したいゴルフ場」と「午前中だけ、週に1日だけといった働き方をしたい人」という双方の事情がマッチした働き方になっているようです。

 スキマバイトや副業、さらにボランティア人材のゴルフ場での活躍が、さらに深刻化しそうな人手不足を解消してくれる活路になるかもしれません。

福島睦久