国内男子ツアー第5戦「関西オープン」は幡地隆寛(はたぢ・たかひろ)が通算14アンダーで国内ツアー初勝利を飾った。3打差の通算11アンダー単独2位には杉浦悠太(すぎうら・ゆうた)が入った。最終日を首位でスタートした清水大成(しみず・たいせい)はスコアを崩し通算10アンダーの単独3位でフィニッシュした。

メジャー5勝・ケプカのゴルフを間近で見た衝撃

◆国内男子プロゴルフ<関西オープンゴルフ選手権 5月16〜19日 名神八日市カントリー倶楽部(滋賀県) 6869ヤード・パー70>

 国内男子ツアー第5戦「関西オープン」は幡地隆寛が通算14アンダーで国内ツアー初勝利を飾った。

悲願の国内ツアー初優勝を遂げた幡地隆寛 写真:JGTOimages
悲願の国内ツアー初優勝を遂げた幡地隆寛 写真:JGTOimages

 身長188センチ、体重98キロの幡地隆寛。国内ツアーで戦う日本人としては、最も体が大きい選手であり、20−21年シーズンはドライビングディスタンスで1位(313.04ヤード)を獲得している。当然のように、ツアーに本格参戦した19年から将来を期待されていたが、思うような成績を残すことができなかった。飛距離こそ出るものの、その分曲がりも大きくボールをうまくコントロールできなかったからだ。ラフから打つ回数が多い分グリーンを正確にとらえる確率も低かった。パッティングやアプローチといったショートゲームにも課題が少なからずあった。

 勝利にも恵まれず、いつしか“未完の大器”と呼ばれることが多くなっていたが、幡地自身は努力することを怠ることはなかった。ショットに磨きをかけながらショートゲームの練習量を相当増やしていった。たとえボールを曲げてもリカバリーできると思えば、安心してドライバーを振り切ることができる。ただ、すぐに結果が出るほど甘い世界ではない。何度も挫けそうになりながらも必死で前を見続けていたが、出口が見えない迷路をさまよっていたように見えた。

 そんな折、昨年のダンロップフェニックスでブルックス・ケプカ(米)と同組でラウンドすることになった。自分と同じ飛ばし屋であると同時に、米国メジャー5勝の実力者のゴルフを目の当たりにした衝撃はあまりにも大きかった。「日本ツアーで味わえないもの、技術を見た時、自分の中にある向上心が止まりませんでした」。ケプカの全ショットを目に焼き付け、少しでも近づきたいと思った。

 自分が目指す方向が明らかになったことで迷路からの出口も見えた。ドライバーショットの曲がりを抑えるよりも、ミドルアイアンの精度を上げることに集中した結果ショット全体の精度が上がった。今年のオフにアジアンツアーと豪州ツアー共催のニュージーランドオープンを制したのも、その効果が現れたからだ。となれば、国内ツアーでも結果を出せる。開幕5試合目にしてようやくツアー初優勝を手にした。

世界基準に近づくことが次の課題

 最終日に幡地の成長を最も見られたショットは15番パー3のティショットだ。220ヤードと距離が長いため、手にするクラブのロフトも小さくなるだけにボールを止めにくい。幡地は4番アイアンを手にすると、迷うことなくピンに向かって振り抜いた。ボールは本当に4番アイアンかと思うほど高い弾道で飛んで行きピン左2メートルに止まった。それを沈めて単独首位に立った。まさに、ケプカばりのアイアンショットだった。

 優勝が決まった後はプロ仲間からウォーターシャワーを浴びせられた幡地。「ようやくかけられる側になったのがうれしかった」と笑顔を見せた。これまでは海外メジャーにそれほど強い興味を抱いてなかったが、「今は全米オープンにも全英オープンにも出たいですね」と意欲を見せる。仮に出場できたなら、幡地にとって大きな財産となるのは間違いない。プロ転向10年目での優勝といっても、まだ30歳。幡地のゴルフ人生はこれからが本番だ。

 また、今大会では石川遼が怒涛の追い上げを見せた。初日こそ「73」を叩き71位と出遅れたが、2日目以降は「69」、「65」、「65」と石川らしい本来のプレーを魅せ5位タイでフィニッシュした。

e!Golf編集部