アメリカン・スポーツの代表格であるシボレー・コルベットは、数々の映画にも登場するなど、同国の自動車文化も体現してきた存在といえるだろう。

初代は1953年にデビュー

初代は1953年にデビューを飾り、周知のとおり現行型の8代目は、70年近い歴史を紡いできたフロント・エンジン後輪駆動(FR)からミドシップへと大変革を遂げている。現行型は、2020年の「東京オートサロン」で日本初公開され、翌2021年5月に発売された。

万能性の高さも美点

日本にはコルベット初となる右ハンドル仕様が導入され、標準モデルは最高出力502ps、最大トルク637Nmを誇る6.2リッターV8エンジンとデュアルクラッチ式8段自動MT(DCT)を積みながらも日常使いもこなす万能性の高さも美点で、前後合わせて約356リッターという荷室容量を備えるなど、実用性の高さも備えている。また、2023年8月には市販の自然吸気V8としては最強となる646ps/623Nmを発生する5.5リッターV8を積む「Z06」も追加されている。

今回、標準モデルに2台の限定車「EDITION CERV I」(エディション・サーヴ・ワン)と「HERITAGE EDITION」(ヘリテージ・エディション)が設定された。どちらもコルベットの伝統を感じさせるコーディネイトが魅力となっている。

幻のテストマシンがモチーフ

EDITION CERV Iは、コルベットの父であるゾーラ・アーカス・ダントフ氏が1959年に試作した幻のミドシップのテストマシン「CERV(Chevrolet Experimental Research Vehicle)I」をモチーフにしている。ベース車は「クーペ2LT」および「コンバーチブル」で、「エッジブルー」のストライプが卓越した走りを想起させる外観が目を惹く。

ボディ・カラーは「シルバーフレア メタリック」。足元には日本初採用のホイールと「エッジイエロー」のブレーキキャリパーが備わり、特別な1台であることをさり気なく主張している。

初代を彷彿させるレッド内装

もう1台のHERITAGE EDITIONは、「クーペ3LT」およびコンバーチブルがベース。1953年モデルの初代コルベットを彷彿とさせる真っ赤なインテリアと深みのあるグレーのボディ・カラーとのコーディネイトが特徴だ。ちなみに、伝統的なアメリカン・スポーツの先駆けとなったC1型の初代コルベットは全車に真っ赤なレザーを採用していた。

HERITAGE EDITIONはその伝統と情熱にオマージュを込め、鮮やかな「アドレナリンレッド・ディップド」のフルレザー内装を採用。エクステリアに新色の「シーウルフグレー・トライコート」が日本で初めて採用されたのも見どころだ。これはメタリック粒子と3層のペイントコートが生み出す独特の質感、そして深みのあるグレーがさまざまな表情で生み出すという。

2タイプ4モデルを設定

2台の限定車には、それぞれクーペとコンバーチブルの計4バージョンが設定されていて、日本だけの計40台のスペシャルモデルとなっている。早期の完売は必至だろう。

EDITION CERV Iのクーペ2LTは15台限定で1510万円、コンバーチブルは5台限定で1890万円、HERITAGE EDITIONのクーペ3LTは15台限定で1740万円、コンバーチブルは5台限定で1890万円となっている。デリバリー開始は2024年5月中旬の予定となっている。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)