今月に入って、県内では農業用の設備などが盗まれる被害が相次ぎました。この事態に農家からも困惑の声が上がっていますが、狙われているのは他にもあるようです。

30年ちかく桃などを育ててきた桑折町の農家=大泉忠志さん。ことしも、おいしい桃を育てようと準備を進めていた矢先のことでした。

■大泉農園大泉 忠志 代表

「ここに2本。この先端2箇所にあったバルブを盗られた。」

先月中旬、畑に水をまくため備え付けられている金属製のバルブが盗まれたというのです。バルブは何らかの方法で切断し、盗まれたとみられていて、そのバルブは桃を成長させるためには欠かせないものでした。

■大泉農園大泉 忠志 代表

「天気にもよるけど干ばつの時には灌水作業が欠かせないので、ないと困る」

同じようにバルブが盗まれる被害は県北の桃畑でも複数確認されています。実はいま、金属類の価格が値上がりしていて、転売目的とみられる盗難被害が増えているのです。県内では今月、橋の名前などを刻んだ金属製の橋名板や側溝をふさぐふたなどの盗難被害が確認されています。全国に目を向けてみると、埼玉県では(去年12月)、銅を含む合金でできている水道メーターが盗まれる被害が発生。窃盗の容疑で逮捕された男は、盗んだものを転売し、金に換えたとみられています。県内で起きた今回の被害。警察は窃盗事件とみて、捜査を進めていますが、自治体も手をこまねいているわけではありません。伊達市では、こうした被害や桃そのものの盗難を防ぐために桃畑に防犯カメラを設置する際、その設置費用を助成するなどして生産者を守る取り組みも進めています。くだもの王国=福島を襲った悲しい事件。

■大泉農園大泉 忠志 代表

「ショック。モモ(の栽培)に携わって30年なんだけどこういうことは初めて」

生産者も「やるせない気持ち」と肩を落としています。