近年、通勤用や普段使いとしてクロスバイクの人気が高まっている。満員電車や渋滞を避けながら移動でき、なおかつ運動不足解消の効果も期待されているのだ。   SNSでもクロスバイクやサイクリングの魅力を発信する人が増えており、購入を検討している人もいるだろう。   ただし、クロスバイクを購入する際には思わぬ落とし穴がある。それは、本体価格以外に必要となる道具の総額が比較的高額という点だ。   そして、数年前より自転車を趣味として楽しんでいるOさんは、こうした道具への出費を削るのは危険だと話す。ここではOさんの話を伺いながら、ライトやヘルメットといった道具の必要性や、価格ごとの性能の違いについてみていこう。

クロスバイク以外に必要な道具は5つ!

まず、Oさんはクロスバイクを楽しむ上で、本体以外にも必要となる道具を教えてくれた。
 
「これからクロスバイクを購入するのであれば、バイク本体だけでなく「ライト」「ヘルメット」「フロアポンプ(空気入れ)」「グローブ」「鍵」の5つも忘れずに購入しないとダメですね。これまでママチャリに乗ってきたという人なら、『ライトや鍵って自転車についてるでしょ?』と思うかもしれませんが、本格的な自転車になるとこれらの装備は備え付けられていないため、自分で別売りの商品を買わないといけないんです」
 
Oさんはそれぞれの道具の必要性について次のように語った。
 

ライト:装備していないと法律違反になる!?

実用性を重視したママチャリとは異なり、サイクリングを目的にしたクロスバイクにはライトが付いていない。
 
そのため、クロスバイクを運転する場合には、別売りのライトが必須となる。ライトが装着されていない状態でクロスバイクを運転することは交通法規違反となり、警察に見つかると処罰を受けるだろう。
 
たとえ警察に見つからなかったとしても、夜間や暗い場所を走行する際に、ライトが装着されていなければ、周囲の状況が把握できず非常に危険だ。自転車と歩行者の接触事故は全国で毎年発生しており、お互いに大けがをする恐れがある。
 
クロスバイクを利用する際には、各自治体の条件を満たしたライトを装着しなければならない。
 

ヘルメット:かぶっていないと事故時の致死率が2倍以上に!

クロスバイクは毎時、平均15〜20キロメートルで走行するといわれており、ママチャリが毎時10〜15キロメートルであることを踏まえると、約1.5〜2倍程度の速度で走行していることになる。そのため、事故を起こしたときに頭部を守るヘルメットの装着も重要だ。
 
実際、警視庁の資料によると、自転車事故により死亡した人の約7割が、頭部に致命傷を負っている。そして、ヘルメットを着用していない場合、自転車事故時の致死率が2倍以上にもなるといわれている。
 
自治体によっては、クロスバイクを運転する際にヘルメットの着用を義務付けていない場合もあるが、自分の身を守るためにも、走行時にはヘルメットを装着するようにしよう。
 

フロアポンプ:タイヤを常に最適な状態に保つ

クロスバイクで走行する際には、フロアポンプ(空気入れ)も準備しよう。
 
クロスバイクの快適な乗り心地を持続させるためには、タイヤの空気に注意を払う必要がある。クロスバイクのタイヤには適切な空気圧があり、タイヤに空気を入れる際には、この空気圧に注意を払う必要がある。
 
フロアポンプを購入する際には、こうした空気圧を把握できるエアゲージ(空気圧計)が備え付けらえた製品を選ぶとよいだろう。
 

グローブ:走行時の振動を防ぎ操作性を高める

クロスバイクでは走行性能を向上させるために、フレームにアルミやクロモリが使用されている。これにより、走行時の振動がフレームだけで吸収できず、ハンドルを握る手にダイレクトに伝わってしまうのだ。
 
場合によっては、走行中すぐに手のひらが痛くなったり、疲れてしまうことがある。グローブを装着することで、走行時の負担を軽減し快適に運転できるようになる。
 

鍵:盗難防止の必須アイテム!

クロスバイクは基本的に高価な製品も多く、中古の製品でも比較的高価で取引されている。また、本体自体が軽く、持ち運びも容易であることから、盗難被害に遭いやすいのも特徴だ。
 
大切なクロスバイクを盗まれないためにも、鍵も重要な道具だ。鍵といってもさまざまな種類が販売されているため、「家で活用する本格仕様の鍵」「外出先で活用する簡易的な鍵」など、利用シーンに応じて使い分けるのもよいだろう。
 

本体価格以外にもう4〜5万円は覚悟しよう

このように、Oさんが教えてくれた5つの道具はそれぞれ必要性があり、クロスバイクを楽しむ上で必ず持っておきたい。
 
ではこれらの道具を全てそろえようとすると、どれくらいの費用が必要となるのだろうか? 実際の商品を参考にすると、各道具の相場になる。
 

■クロスバイク以外に必要な道具の相場

●ライト:3000〜1万円
●ヘルメット:7000〜3万円
●フロアポンプ:3000〜7000円
●グローブ:3000〜8000円
●鍵:3000〜1万円

 
上記の相場を見ても分かる通り、全ての道具をそろえるならば、道具だけでも最低4〜5万円以上は準備しておきたい。
 
Oさんによると、クロスバイクを購入した初心者の場合、本体費用にお金をかけすぎて、これらの道具を安物で済ませるということも珍しくないそうだ。しかし、Oさんはそうしたお金のケチり方に警鐘を鳴らしている。
 
「やっぱりこういった道具にお金をケチるのは止めたほうがよいですね。自転車本体にお金をかけたくなるのも分かりますが、こうした道具は『自分や周りの人の安全を守るため』の物です。特に安物の製品になると、期待している効果が発揮されない場合もあるため、注意が必要です。」
 
確かに、高価すぎる商品は価格にブランド料が含まれているケースもある。一方で、格安の商品の場合、機能面で欠点を抱えているケースがあることを忘れてはいけない。
 
格安のヘルメットであれば、緩衝材の品質やヘルメット自体の構造に不安が残り、転倒事故にあった際、十分に衝撃を吸収できない恐れがある。
 
自分や周囲の人の安全を守るためにも、必要となる道具への出費は決してケチらないほうがよいだろう。
 

品質にも気を配り十分な費用を準備しよう

クロスバイクを楽しむならば、クロスバイク本体以外に、もライト、ヘルメット、フロアポンプ、グローブ、鍵という5つの道具が必要となる。
 
初心者の場合、自転車本体にお金をかけようとするため、どうしてもこれらの道具への出費を抑えようとしてしまう。しかし、安価な道具は品質面で欠点を抱えている可能性があり、十分な機能を有していない恐れがある。
 
そのため、クロスバイクの購入を検討している方は、クロスバイク本体以外にも、4〜5万円が必要となる旨を理解し、予算を考えておくとよいだろう。
 

出典

警視庁 自転車用ヘルメットの着用

警察庁 自転車は車のなかま〜自転車はルールを守って安全運転〜

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー