残業時間の削減が多くの企業で励行されているようです。そうした社会の流れのなか、職場で定時退社を心掛けていたにも関わらず、評価が下がりボーナスも減額されてしまうと、納得がいかない思いになるでしょう。   この記事では、定時退社することを理由にボーナスカットされた場合の法的な考え方を説明し、そうなったときの労働者の対応について考えます。

ボーナスカットは違法か?

ボーナスの扱いは、労働に対する報酬の一環として位置づけられます。しかし、労働基準法上、ボーナスの支払いは企業の自由裁量に任されており、その額にあらかじめ定められた基準がないので、減額しても違法とはなりません。
 
ただし、会社が作成した就業規則や労働者との契約でボーナスの支給条件が定められている場合には、そこに記載された基準に反する減額は問題となる可能性があります。
 
例えば、ある企業が就業規則で「ボーナスは基本給の3ヶ月分を冬に支給する」と明記していたとします。にもかかわらず、経済状況の悪化を理由に2ヶ月分に減額した場合、この行為は就業規則に反しているため問題視されるでしょう。
 
なお、就業規則に違反して懲戒処分を受けた場合であれば、給与やボーナスに対する減給処分の可能性はあります。問題となる勤務態度としては、遅刻早退が多かったり、無断欠勤が続いたりした場合などです。
 
とはいえ、定時退社を繰り返すことを懲戒理由にした就業規則は常識的に考えにくく、そうした就業規則がないにもかかわらず定時退社を繰り返すことを理由として給与やボーナスを減額することは問題となります。
 
有給休暇の取得など労働者が法的に保障された権利を行使した場合も同様ですが、労働契約に書かれた勤務時間を守っていることを理由にボーナスを減らすことは、違法行為に該当する可能性があるのです。このようなケースでは、訴訟などの手続きを行うとよいでしょう。
 

ボーナスカットが分かったときの対応

ボーナスカットが告げられたとき、従業員はどのような対応を取るべきか考えてみましょう。以下のような順番で対応することが一般的です。

(1)企業からの説明を聞き、その理由をしっかりと理解する
 
(2)就業規則や契約書を確認する
 
(3)ボーナスの削減が契約文書の記載に基づいたものであるか検証する
 
(4)不明瞭な点や不公平を感じた場合、雇用者との対話を通じて解決を図る
 
(5)対話で解決できなければ、労働基準監督署への相談や法律専門家の意見を求める

ボーナス減額には適切な対応を

定時退社を守り、業務を全うしているにも関わらず、賞与を減額されるのは納得がいかないものです。とはいえ、法的な観点からは、賞与の支給は企業の裁量に大きく委ねられており、減額自体が直接違法とは限りません。
 
重要なのは、その過程が透明で公平であること、そして就業規則や契約に基づいていることです。もし疑問や不公平を感じたら、適切な相談窓口を利用し、自身の権利を守るための一歩を踏み出しましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー