アルバイトを選ぶ際には、時給がいくらもらえるのかを重視する方もいらっしゃるでしょう。賃金を比較するときに参考にしたいのが、最低賃金です。最低賃金は都道府県ごとに設定されており、そこで働くすべての労働者に適用されます。   そこで今回は、最低賃金制度について解説します。さらに、賃金が最低賃金を下回っていたときの対処法も紹介していますので、「賃金が周りと比べて低いかも?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

最低賃金制度とは

各都道府県の最低賃金は、最低賃金法に基づいて定められています。国によって賃金の最低限度が決められているため、雇用主は従業員に対して、最低賃金以上の賃金を支払う必要があるとされています。
 
最低賃金制度の対象者は、パートタイマーやアルバイト、臨時などの雇用形態に関係なく、その職場で働くすべての労働者です。ただし、特定の産業で働く方は、一部、最低賃金制度が適用されないケースがありますので注意しましょう。
 
なお、令和5年10月1日時点での東京都の最低賃金は1113円です。自分の住んでいる都道府県の最低賃金を調べたい場合は、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で確認しましょう。
 

最低賃金以下の賃金は違法にあたる可能性が高い

最低賃金以下の賃金しか支払わない場合は、違法とみなされる可能性が高いです。最低賃金制度が適用される状況であれば、たとえ職場と労働者の間で合意していたとしても、法律的にはその合意は無効となります。
 
違法とみなされた場合は、罰則として職場側には、50万円以下の罰金が科せられることがあります。
※特定(産業別)最低賃金制度が適用となる場合には、30万円以下の罰金
 
さらに、違法と認められた場合は、今まで受け取っていた賃金と最低賃金額の差額分を、職場に請求できることも覚えておきましょう。
 
もし最低賃金額よりも賃金が下回っていることが発覚した場合は、まずは職場の上司(責任者)に確認する必要があります。話しても解決しないときには、労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
 
なお、最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる「賃金」です。以下の賃金や手当などは対象外となります。
 

・臨時で支払われる賃金や手当
・賞与
・時間外勤務手当(残業代)
・休日出勤手当
・深夜勤務手当
・精皆勤手当
・通勤手当
・家族手当

 
原則、基本給と上記以外の諸手当が対象となるため、確認の際はご注意ください。
 

最低賃金以下で働いていた場合に、不足分は取り返せる可能性がある

最低賃金制度は、最低賃金法に基づき国が定めた制度であり、雇用形態に関係なく、各都道府県の事業所で働くすべての労働者に適用されます。そのため、最低賃金を下回る賃金は違法となる可能性が高いでしょう。
 
仮に、最低賃金以下で働いていたことが認められれば、今までの賃金と最低賃金額の差額を請求できる可能性があります。まずは職場に伝えて、対応してもらえなかったときは、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。
 

出典

デジタル庁 e-GOV法令検索 昭和三十四年法律第百三十七号 最低賃金法 第二章 最低賃金
厚生労働省
 最低賃金制度とは
 必ずチェック最低賃金使用者も労働者も
  適用される対象者は?
  対象となる賃金は?
  よくあるご質問 労働者と最低賃金制度 Q2調べたら自分の時間給が最低賃金を下回っていました。どのように対処すればよいですか?
 地域別最低賃金の全国一覧
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー