多くの企業が福利厚生の一環として持株会(持株制度)を導入しており、奨励金が支給されるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、メリットだけでなくデメリットも気になる方は多いでしょう。   本記事では、持株会に参加する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。持株会の特徴やメリット・デメリットを確認して、加入するかどうかを判断する際の参考にしてみてください。

持株会(従業員持株会)とは

従業員持株会は、従業員が自社の株式を購入し、保有できる制度です。持株会の会員は共同で株式を購入し、拠出額に応じて株式が配分され、配当金なども受け取れます。拠出額は給与から天引きされる仕組みです。
 
奨励金も支給され、従業員のモチベーション向上に貢献するため、多くの企業がこの制度を福利厚生の一環として導入しています。
 

持株会のメリット

持株会に参加して自社株を購入する場合、奨励金の支給や少額からの購入、投資のタイミングを気にする必要がないなどのメリットがあります。
 
これらのメリットを把握することで、持株会への加入の是非を判断しやすくなります。また、多くの企業が福利厚生の一環として持株会を導入していることについても理解が深まるでしょう。本項では、持株会のメリットについて紹介します。
 

奨励金がある

持株会に加入するメリットは、奨励金が支給されることです。多くの企業は、従業員が持株会を通じて自社株を購入する際に、通常5〜10%程度の奨励金を支給しています。
 
日本取引所グループの「2022年度 従業員持株会状況調査結果」によると、持株会を導入している調査対象3262社のうち、3147社(96.5%)が奨励金を支給していました。
 
奨励金の平均支給額は、拠出金1000円につき94.52円です。奨励金が支給される企業は多く、それにより自社株をより効率的に取得できます。
 

少額から購入できる

通常、株式は100株単位での売買となります。そのため、100株を購入するのに10万円以上の資金が必要になることもあります。
 
しかし、持株会の場合は、毎月一定額の拠出で自社株を購入可能です。少額から始めて無理なく株式を取得できる点は、持株会に加入するメリットと言えます。
 

投資のタイミングを考える必要がない

通常、株式投資の際には、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を行い、投資のタイミングを考える必要があります。
 
しかし持株会の場合は、毎月自動的に購入され、拠出額に応じて株が配分されるため、購入のタイミングを悩む必要がなく手間も省けます。自社株の積立投資によって、資産形成を進めることが可能です。
 

持株会のデメリット

持株会は、個人の証券口座で株式を売買するのとは異なるため、株主優待を受け取れない、すぐには売却できないというデメリットがあります。持株会に参加するかどうかを判断する上で、メリットとデメリットの両方を理解しておくことは重要です。
 
また、リスク管理にもつながります。本項では、持株会のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
 

株主優待は受け取れない

株式投資の魅力の一つは株主優待です。企業によっては、割引券やカタログギフト、食事券、自社商品などを提供しています。しかし、持株会では個人名義で株を保有しないため、株主優待を受け取れません。
 

すぐには売却できない

持株会で購入した株を売却する場合、持株会の口座から自身の証券口座に株式を移動する手続きが必要となるため、すぐに売却できません。そのため、希望の価格で株を売却できない可能性があります。
 

持株会のメリットとデメリットを確認して加入するか判断しよう

持株会に参加することで、少額から自社株を購入できます。多くの企業が奨励金を支給しており、毎月一定額の購入が可能なため、購入タイミングを考える必要がありません。
 
また、拠出金は給与から天引きされるため、少額でも着実に資産形成ができます。持株会へ興味がある方は、まずは自社の持株会の条件を確認してみましょう。
 

出典

日本取引所グループ 2022年度 従業員持株会状況調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー