子どもの進路を考えるにあたって「より良い教育を受けさせたい」と、親なら誰しもが思うのではないでしょうか。 しかし、実際には必要な教育費と収入の兼ね合いで理想を断念するケースが少なくありません。   本記事では、世帯年収800万円の家庭で2人の子どもを中学から私学に通わせられるのかについて解説します。

世代ごとの平均年収

2024年3月27日に厚生労働省から発表された令和5年の賃金構造基本統計調査によると、日本全体の平均年収は約506万円です。
 
ただし、世代ごとに大きな差があります。世代ごとの平均年収は図表1のとおりです。
 
図表1

年代 平均年収
全体平均 約506万円
〜19歳 約262万円
20歳〜24歳 約335万円
25歳〜29歳 約414万円
30歳〜34歳 約463万円
35歳〜39歳 約512万円
40歳〜44歳 約547万円
45歳〜49歳 約574万円
50歳〜54歳 約598万円
55歳〜59歳 約605万円
60歳〜64歳 約461万円
65歳〜69歳 約377万円
70歳〜 約346万円

厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 から作成
 
30代全体の平均年収で見ると、おおむね400万円代後半から500万円台前半ほどです。
 

日本の平均世帯年収

令和4年に公表された国民生活基礎調査の結果によると、令和3年の世帯平均所得は545 万7000円でした。さらに、高齢者世帯以外の世帯に限定すると665 万円、子どものいる世帯に限定すると785 万円です。
したがって、世帯年収800万円は平均的な水準といえるでしょう。
 

私立中学校の平均学費

文部科学省が公表した令和3年度の子どもの学習費調査の結果によると、私立中学校に通わせた場合の年間学習費は143万6353円です。平成30年度が140万6433円でしたので、約3万円上昇しています。
 
一方で、公立中学校に通わせた場合、令和3年度の年間学習費は53万8799円でした。令和3年度の私立ならびに公立中学校の年間学習費の内訳は図表2のとおりです。
 
図表2

私立 公立
学校教育費 約106万1000円 約13万2000円
学校給食費 約7000円 約3万8000円
学校外活動費 約36万8000円 約36万9000円
合計 約143万6000円 約53万9000円

文部科学省 令和3年度の子どもの学習費調査 より作成
 
学校外活動費は同水準ですが、学校教育費に大きな差があります。また、私立高校の年間学習費は105万4444円、私立大学文系学部に進学すると年間134万723円必要です。
 

小学6年生と4年生の子どもがいる場合

世帯年収800万円の手取り額は、夫の年収500万円・妻の年収300万円程度の場合、約630万円になります。令和4年の家計調査によると、4人世帯の平均生活費は月間31万6517円です。
 
小学6年生と4年生の子どもがいる場合、下の子が私立中学に進学して以降に多額の年間学習費を必要とします。したがって、上の子が中学3年生・下の子が中学1年生のタイミングで試算します。

●世帯手取り額:約630万円(1ヶ月:約52万5000円)
●生活費:約380万円(1ヶ月:約31万6000円) 
●年間学習費:約286万円(143万円×2人)

このように見ると、50万円程度不足します。ただし、子どもが中学校に進学するまでの間に貯蓄したり節約したりできていれば、中学から私学に通わせることは可能でしょう。

まとめ

今回は、世帯年収800万円の家庭で2人の子どもを中学から私学に通わせられるのかについて解説しました。
私学に通わせることにより家計への負担はあります。しかし、貯蓄や節約に努めれば可能ですので、私立中学を含めて子どもの進路を検討してはどうでしょうか。
 

出典

文部科学省 令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文部科学省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
e-Stat 賃金構造基本統計調査
統計局ホームページ 家計調査(家計収支編) 調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー