立ち読み防止対策として、本屋さんが書籍につける「立ち読み防止テープ」を見たことがある方もいるでしょう。このテープがあると本来立ち読みできませんが、今回の例のように小さな子どもがテープを剥がしてしまうケースも考えられます。   本屋さんにテープを剥がしてしまったことを伝えたら「本を買い取ってください」と言われることもあるでしょう。本記事では、子どもが立ち読み防止テープを剥がしてしまった場合について、関係する法律を挙げつつ、買い取りが必要かどうかを解説します。

テープを剥がしての立ち読みは刑法上の罪に問われるか?

今回のケースではテープを剥がしたのが小さな子どもであるため、刑法上の罪に問われることは可能性としては低いでしょう。これは、刑法四十一条にて、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない。」と規定されているためです。
 
仮に、テープを剥がしたのが成人であったと仮定すると、テープを剥がす行為が「器物損壊罪」に該当するおそれがあります。刑法261条には以下の通り規定されています。


「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

ただし、刑罰が課せられるのは、何冊もテープを剥がすなど、悪質なケースに限られるといえるでしょう。
 

書店から「弁償」を求められる可能性はある

子どもがテープを剥がす行為は刑罰の心配はありませんが、民事上の問題になる可能性はあります。
 
書店が立ち読みを防止するためにテープを貼っているにもかかわらずテープを剥がしてしまうことは、店舗に損害が生じる行為に該当します。今回の例のような場合は、弁償・買い取りを要求される可能性があることを理解しておきましょう。
 
剥がした後に元通りになりにくいテープの場合は、売り物にならなくなります。あるいは、テープを剥がした跡が残ったまま販売され、購入した人が不快に感じる可能性もあるでしょう。
 
買い取りを拒否して強硬な態度を取ると、書店との間でトラブルになることもあるため、非を認めて誠実に対応すべきといえるでしょう。
 

立ち読み防止テープを剥がしての読書は「弁償」の覚悟が必要

子どもが立ち読み防止テープを剥がしてしまった場合に買い取りが必要になるか否かは、書店の対応次第です。書店から「弁償は不要です」と言われたら、十分におわびをしたうえで、子どもに今後はテープを勝手に剥がさないように言い聞かせることが大切です。
 
一方で、書店から弁償を求められた場合は、素直に従うことで大きなトラブルへの発展を防げます。また、書店のスタッフの方が気づいていない場合についても、自分から事情を説明して、指示に従うと、誠実な印象を与えられるでしょう。
 
テープを剥がしたり、お店の迷惑となる行為をしたりすることは、大人であれば刑罰が科される可能性もある行為です。書店への迷惑を考えて、適切な対応をしましょう。
 

出典

デジタル庁e−GOV法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号)第四十一条、第二百六十一条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー