令和元年に金融審議会が「市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」において「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年でやく1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる。」と発表したことで話題になった「老後2000万円問題」について、気になっている方もいるでしょう。 老後の生活に向けて本当に2000万円を貯蓄している方は周りにどのくらいいるのか、確認しておきましょう。   本記事では、65歳以上の世帯において貯蓄を2000万円以上保有している割合や、貯蓄額が足りない場合の対処法についてご紹介します。

65歳以上の世帯で貯蓄2000万円を保有している割合は?

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)−2022年(令和4年)平均結果−(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯のうち、世帯主が65歳以上の世帯における貯蓄額の平均値は2414万円、中央値は1677万円となっています。
 
貯蓄額の割合は表1の通りです。
 
表1

貯蓄額 割合
100万円未満 7.8%
100万〜200万円未満 3.4%
200万〜300万円未満 3.2%
300万〜400万円未満 3.5%
400万〜500万円未満 3.3%
500万〜600万円未満 3.5%
600万〜700万円未満 2.8%
700万〜800万円未満 2.6%
800万〜900万円未満 3.4%
900万〜1000万円未満 2.4%
1000万〜1200万円未満 6.1%
1200万〜1400万円未満 4.4%
1400万〜1600万円未満 3.7%
1600万〜1800万円未満 4.2%
1800万〜2000万円未満 3.2%
2000万〜2500万円未満 8.3%
2500万〜3000万円未満 6.3%
3000万〜4000万円未満 10.0%
4000万円以上 17.9%

※総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)−2022年(令和4年)平均結果−(二人以上の世帯)」を基に筆者作成
 
「500万円未満」が21.2%、「500万円以上2000万円未満」が36.3%、「2000万円以上」が42.5%となっています。
 
65歳以上で二人以上世帯のうち、半数近くが2000万円以上を貯蓄しているということなので、現在の貯蓄額が500万円だと不安に感じることもあるかもしれません。
 

老後の生活を不安なく送るためには貯蓄を殖やした方がいい

65歳で定年を迎えてから年金と貯蓄500万円だけで生活することに不安がある場合は、節約して生活を切り詰めるか、定年後も働いて収入を得ることも考えた方がいいでしょう。
特に固定費は節約効果が現れやすいため、不要な保険に入っていないか、格安スマホに変更できないかなど、できることから確認していくことをおすすめします。
 
また、定年後も働くことが可能であれば、自分に合った仕事や働き方を探してみるのもいいかもしれません。
 

老後資金を2000万円以上貯めている人の割合は42.5%

老後に本当に2000万円が必要かどうかは人にもよると思いますが、実際に2000万円以上貯めている人の割合は42.5%という調査結果があります。
現在65歳で貯蓄が500万円しかなく、年金と貯金だけで老後の生活を送ることに不安がある場合は、支出を抑えるか働いて収入を殖やす方法を考えた方がいいでしょう。
例えば、定年後も働いて収入を得ることや、保険、水道光熱費などの固定費を見直すなどの方法がおすすめです。
 

出典

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」(16ページ)
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)−2022年(令和4年)平均結果−(二人以上の世帯)(25ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー