生涯独身を貫く予定のため、あまり先のことを考えずお金を使いたいと考えている人もいるでしょう。では、実際に現在50歳の人が70歳まで働く場合、貯金をしなくても生涯生活していけるのでしょうか。   本記事では、生涯独身を貫いて70歳まで働く予定の50歳が、現在の貯金200万円でも問題なく生活していけるのかについて解説します。生涯独身の予定で、あまり貯金をしたくないもしくはできていない人は、ぜひ参考にしてください。

単身65歳以上高齢者の平均生活費と収入額

総務省の家計調査によると、2022年の単身65歳以上無職高齢者の平均生活費(消費支出)は月間14万3139円です。
 
一方で、年金を主とする収入は13万4915円です。平均生活費の内訳割合は図表1のとおりです。
 
図表1

項目 支出割合
食料費 26.2%
住居費 8.9%
水道光熱費 10.3%
家具・家事用品費 4.2%
衣類費 2.2%
交通費・通信費 10.2%
教養娯楽費 10.1%
その他の支出 22.3%

総務省統計局 2022年(令和4年) 家計の概要
 
したがって、年金で生活費をギリギリまかなえない状況です。
 

老後にかかる医療費

厚生労働省によると生涯医療費(1人あたり生涯で必要となる平均医療費の推計)は、令和3年度は2815万円です。また、2815万円のうち1378万円は70歳以上にかかってくる医療費です。男女別でみると70歳以上でかかる医療費は男性が1268万円、女性が1493万円です。
 
女性の医療費が男性と比較して高いのは平均寿命の長さなどが関係していると思われます。
 

平均寿命を踏まえた男女別のシミュレーション

令和4年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は約81歳です。一方で、女性の平均寿命は約87歳です。
 
平均寿命を踏まえた必要額シミュレーションは次のとおりです。
 
条件として、50歳から70歳までの収入は毎月すべて使い切ると想定します。70歳時点での貯金額は200万円のみです。
 

男性のシミュレーション

男性の70歳から81歳までの必要生活費は約1889万円です(小数点以下は切り捨てています)。
 
算出式 月々の平均生活費:14万3139円 × 1年:12ヶ月 × 81歳-70歳:11年=約1889万円
 
また、男性の70歳から81歳までの想定収入は約2198万円です。
 
算出式 月々の収入:13万4915円 × 1年:12ヶ月 × 81歳-70歳:11年=約1780万円
 
したがって、収入から平均生活費を引くと、約109万円の赤字が生まれます。一方で、男性の70歳以上でかかる医療費は1268万円です。
 
つまり、収入から生活費を差し引いた約109万円の赤字を貯金の200万円から補填(ほてん)、さらに貯金の余りを医療費に充当すると、約1177万円が不足します。
 

女性のシミュレーション

女性の70歳から87歳までの必要生活費は約2920万円です(小数点以下は切り捨てています)。
 
算出式 月々の平均生活費:14万3139円 × 1年:12ヶ月 × 87歳-70歳:17年=約2920万円
 
また、女性の70歳から87歳までの想定収入は約2752万円です。
 
算出式 月々の収入:13万4915円 × 1年:12ヶ月 × 87歳-70歳:17年=約2752万円
 
したがって、収入から平均生活費を引くと、約168万円の赤字が生まれます。一方で、女性の70歳以上でかかる医療費は1493万円です。
 
つまり、収入から生活費を差し引いた約168万円の赤字を貯金の200万円から補填して、残りを医療費に充当すると、1461万円が不足します。
 

まとめ

今回は、生涯独身を貫いて70歳まで働く予定の50歳が、現在の貯金200万円でも問題なく生活していけるのかについて解説しました。
 
男女のいずれも、貯金200万円で70歳を迎えた場合、必要な生活費と医療費を払うため1000万円以上不足するかもしれません。老後のためにも自身がどのくらい生活にお金をかけていてどのくらい貯蓄しておくべきか計画的に計算してみましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要
厚生労働省 医療保険に関する基礎資料 生涯医療費(令和3年度)
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況1 主な年齢の平均余命
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー