日本に住む国民全てが国民健康保険や後期高齢者医療制度、または社会保険に加入していますが、国民健康保険料に上限額が設定されていることをご存じでしょうか?   2024年度から、国民健康保険料の上限額が2万円上がります。本記事では、国民健康保険料の上限額や、上限の上昇によって影響が出る年収の目安はいくらなのか等を紹介します。

国民健康保険料の上限は、いくら?

令和5年度での国民健康保険料の上限は年間104万円でしたが、令和6年4月1日から上限が「106万円」になりました。
 
令和6年1月の官報にて「国民健康保険法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第17号)」が公布され、国民健康保険の医療分に含まれる後期高齢者支援金等限度額が22万円から24万円に引き上げられることに伴い、全体での上限額が2万円上がったのです。
 
令和6年度国民健康保険料の上限額の内訳は、医療分(基礎限度額65万円+後期高齢者支援金等限度額24万円)+介護納付金限度額17万円=106万円です。
 

国民健康保険料はどのように決められているの?

国民健康保険料は、前年の世帯所得に応じて決まる「所得割」・加入者人数によって決まる「均等割」・1世帯あたりで決まる「平等割」・土地または家屋を所有して固定資産税(都市計画税は除く)が課税されている場合に計算される「資産割」をもとに決められていて、多くの自治体では主に、所得割・均等割・平等割の3つを使って計算されています。
 
保険料は基本的に、「医療分(基礎分)+後期高齢者支援金分(支援金分)+介護分」で構成されており、年齢によって保険料の構成が異なります。

・40歳未満:医療分(基礎分)+後期高齢者支援金分(支援金分)
 
・40歳以上65歳未満:医療分(基礎分)+後期高齢者支援金分(支援金分)+介護分
 
・65歳以上:医療分(基礎分)+後期高齢者支援金分(支援金分)で、介護分は介護保険料として納めます

もし、前年の年収が0円だと保険料も0円になるの?

失業など様々な事情で前年の年収が0円だった場合、今年度の保険料も0円になるのでしょうか。結論から先にいうと国民健康保険料は0円にならず、保険料を支払う必要があります。
 
前年の所得が一定金額以下のときには、所得によって保険料が2割から7割軽減されて納付金額が決められ、世帯主に納付通知書が届きます。
 

保険料上限引き上げの影響が出る年収の目安はいくら?

今回の改正で上限額が引き上げられましたが、国民健康保険に加入している人全ての保険料が一律に上がるわけではなく、所得が一定金額以上に達した人が対象です。
 
厚生労働省の令和5年度発表資料による試算では、単身世帯(扶養家族がいない)での国民健康保険料の上限に到達する年収目安は以下のとおりです。

令和5年度:給与収入または年金年収で約1140万円(所得では約960万円)
 
令和6年度:給与収入または年金年収で約1160万円(所得では約980万円)

令和5年度と比べて、年収の目安が約20万円引き上げられる見込みになります。
 

まとめ

国民健康保険料には年収での上限額が設定されていて、2024年度から上限額が2万円上がって106万円になりました(加入している人全ての保険料が一律に上がるわけではありません)。対象となる年収の目安は、単身世帯で給与収入または年金年収で約1160万円(所得では約980万円)です。
 
国民健康保険料の納付通知書が届いたら、自分の前年所得が正しく反映されているか確認し、諸事情で納付が難しいときは早めに役所窓口に相談しましょう。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー