福島県会津若松市で2000(平成12)年に始まった「荒城の月市民音楽祭」が、5月12日の最終公演で四半世紀の歴史に幕を下ろす。鶴ケ城が名曲のモチーフとなっていることに誇りを持ち、歌い継ごうと市民ボランティアの実行委員会が運営してきた。しかし、実行委の高齢化や社会情勢の変化を受け、祭典を終える。関係者は「ぜひ多くの人に参加してほしい」と呼び掛けている。

 滝廉太郎作曲の「荒城の月」の歌詞は、土井晩翠が鶴ケ城と青葉城を基に作詞した。鶴ケ城には土井直筆の歌詞の碑文が残る。かつては学校音楽の定番だった名曲も、時代の流れで歌われる機会が失われていった。こうした状況を受け、会津若松市の鶴ケ城ボランティアガイドが中心となって実行委を組織し、音楽祭を始めた。これまでに約5千人が参加した。ただ、実行委メンバーの高齢化と新たな担い手確保の難しさ、コロナ禍による中断などを踏まえ、最後の公演を迎えることになった。

 最終公演は12日午後2時に會津風雅堂で開演する。入場無料。実行委の主催で、會津風雅堂開館30周年記念事業。コロナ禍の影響で5年ぶりの開催となり、通算21回目となる。

 市内の鶴城小や若松四中、会津高をはじめ、市民の合唱団体が出演し、それぞれ荒城の月を歌う。同市出身のテノール歌手佐藤淳一さんやクラシックのアカペラグループ「アウラ」が出演する。最後は客席も交えて大合唱する。

 実行委員長の竹田政弘さんと会津若松観光ビューローの渡部健志さんが福島民報社を訪れ、公演をPRした。竹田さんは「最後となるが、みんなで盛大に歌いたい。これからも歌い継がれることを願っている」と話している。

 問い合わせは會津風雅堂(月曜休館)へ。