福島県浪江町で製造した再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を使った燃料電池バスが東京都内を走る。浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)を運営する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京都の取り組み。大消費地での利用拡大を通じ、脱炭素社会の実現に向けたグリーン水素の活用促進につなげる。20日、都内江東区の新砂水素ステーションで開始式を行った。

 都内での県産水素の利用は東京五輪・パラリンピックの聖火台などで実績はあるが、継続的な利用は初めてとなる。都内にある水素ステーション21カ所のうち、新砂水素ステーションで浪江町産の水素を扱う。月1回程度、浪江町のFH2Rから専用トレーラーで水素ガス約2600立方メートルを輸送。燃料電池バス10数台分の燃料を満タンにできる量に相当する。都内での水素の需要次第では輸送頻度を増やすことも今後検討する。

 都内では燃料電池バス75台が運行している。新砂水素ステーションでは燃料電池のバスをはじめ、トラックや乗用車にも水素を充塡(じゅうてん)する。

 開始式で内堀雅雄知事は「『さあ、福島から水素で未来を紡ごう』との思いで皆さんと力を合わせて水素の利活用、再生可能エネルギーの発展に全力を尽くす」とあいさつした。吉田栄光浪江町長は「東京都での活用が水素社会実現の道を切り開く契機になると確信している」と述べた。

 小池百合子都知事は「福島県産の水素を継続的に活用し、グリーン水素の普及に弾みをつけたい。福島県の復興が加速することを期待している」と語った。NEDOの斎藤保理事長も出席した。