21日の債券市場で、長期金利の代表的な指標である10年物の国債の利回りが、一時0.980%をつけ、2013年5月以来、11年ぶりの高水準となった。

日銀が今後、国債の買い入れを減額していくとの見方が強まったことや、アメリカの長期金利が上昇していることが、日本の長期金利の上昇につながった。

こうした中、4割近くの企業が、金利上昇を事業にとってマイナスと見ていることがわかった。

帝国データバンクが、中小企業を含む全国約1万1222社に、金利上昇による事業への影響について聞いたところ、「マイナスの影響の方が大きい」と答えた企業の割合は、37.7%で4割近くにのぼった。

「プラスとマイナス両方」と答えた企業は33.2%にのぼり、「プラスの影響の方が大きい」と答えたのは2.8%にとどまった。

業界別では、「マイナスの影響の方が大きい」と答えたのは「不動産(47.7%)」が最も多く、次いで「製造(42.6%)」「農・林・水産(41.7%)」だった。

不動産の企業からは「住宅ローン金利が上昇すれば、不動産販売は厳しくなり市場は冷え込むと推察する」とする声が聞かれたほか、製造の企業からは「今後、工場建て替えなどの設備投資を実施する際に、借入金利が上昇する影響は大きい」など利息増加を懸念する声があがった。

一方、「プラスの影響が大きい」と答えたのは「金融(14.6%)」が最も多く、利ざや拡大による収益向上が見込まれる。

また、金利上昇で過度な円安を抑制する効果などプラス影響を期待する声も多く、娯楽サービスの企業からは「仕入商品に海外製品が多いため、円安の影響で仕入価格の上昇が続いて厳しい状況。金利が上昇し、少しでも円高に振れることがあれば負担は軽減される」とした声や、運輸・倉庫の企業からは「金利上昇により円安が改善されれば海外旅行の需要が回復する」などの意見も寄せられた。