家を買うときや車を買うときなど、大きな買い物をする際には、ローンを組む人がほとんどなのではないでしょうか。しかしローンは借金だから、と抵抗がある人もいるのは確かです。今回はそんなローンへの考え方から思わぬ家族トラブルに発展した私の知人Aさんから聞いたお話です。

マイホーム購入の計画で

Aさんは当時、結婚10年目。

旦那さんと子ども2人の4人暮らしでしたが、子どもの成長につれて当時住んでいた賃貸マンションが手狭になってしまったため、そろそろマイホームを購入する計画を立てていました。

「30年くらいのローンになるけど、2人とも働いてるし大丈夫よね」
「そうだな、繰り上げ返済もできるだろうし」
そんな話し合いをして、休日には家族でモデルハウスを見学に行くなど、着々と準備を重ねていました。

「よし、ここに決めよう!」
家族会議を重ねた結果、Aさんたちは今住んでいる場所の隣町で希望の家を建てることに決めたのでした。
「わあい、僕たちの部屋あるの?」
「もちろんよ、楽しみにしててね」
子どもたちは大はしゃぎ。

そんな時、突然近所に住む姑がAさんたちのマンションを訪ねてきたのでした。

ローンに反対する姑

「何をそんなにはしゃいでるんだい?」
子どもたちの様子から何かあったのかと尋ねる姑に、旦那さんがローンを組んでマイホームを建てることを説明しました。

「ローンを組むだって? そんなみっともない! 私がお金を出すから、月々私に返しなさい」
いきなり姑はそんなことを言いだしたのでした。

確かに旦那さんの実家はかなりの資産家で、マイホームのお金を一括で払えるほどの財力もあります。しかしAさんと旦那さんは誰の力も借りずに2人でマイホームを購入したかったのです。
「そんなことできないよ、母さん」
「でも……」
その日はきっぱり断ったものの、それからというもの、毎日のように姑は電話をかけてきて、「ローンはダメだ、一括にしろ」と言ってくるのでした。

ごり押しする理由は……

「もう、おふくろに借りちゃう?」
姑が一括で貸してくれると言ってきかないため、ついに旦那さんはそんなことを言いだします。どうやら旦那さんの方にも、姑から何度も電話があるようでした。

しかしAさんははっきりと覚えているのです。旦那さんと結婚する前、姑がAさんと2人になった時に「どうせうちの財産目当てなんでしょうけど、どんなに困ってもお金を貸すつもりはないわよ 」と言ったことを。

「いきなりお金を貸してくれるなんて、もしかしたらお義母さん、何か企んでるんじゃない?」
Aさんは旦那さんが何か知っているのではないかと問い詰めました。
「じ、実は……」
あまりにAさんがきつく問い詰めたため、とうとう旦那さんは白状しました。

なんと姑はAさんに黙って、こっそりマイホームに自分の部屋を作って強引に同居する計画だったというのです。
「最近オヤジとうまくいってないみたいでさ、やっぱダメかな」
「ダメに決まってんでしょ! まず私に黙ってそんな計画を立てるのが信じられない!」
Aさんは激昂し、すぐ旦那さんに姑へお断りの電話をかけさせました。

もちろんお金は借りないことになり、マイホームは予定通り家族4人で生活することになったそうです。

奥さんに黙って同居の計画を立てるなんて、とんでもない親子ですね。母親のことが心配だったのかもしれませんが、旦那さんは怒られて当然です。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子