待遇面で正規雇用と差をつけられることも多い、非正規雇用。休暇の取りやすさでも差をつけられるケースもあるようです。今回は、知人から聞いた会社で起きたエピソードをご紹介します。

休暇申請を拒否!?

知人の職場では、ゴールデンウィークも通常業務が行われていました。ただ、多くの取引先が休暇に入るため、普段よりも業務量がぐんと減ります。
全員が出社する必要もないため、社員は交代で休みを取っていました。

非正規雇用のA子も、ゴールデンウィーク中の休暇申請をしました。迷惑にならないように周囲の社員とスケジュール相談をして、了承も得ていましたが、上司のB男はA子の休暇申請を拒否。驚くべきセリフをA子に投げてきたのです。

休暇は正規雇用が優先される?

上司のB男は「連休中の休暇申請は正社員が優先される」と、拒否の理由をA子に告げました。さらに「非正規は正社員のサポート要員なのだから、当然のこと。非正規が連休中に休暇を取るなんて非常識だ」と説教してきたのです。

休暇は平等に与えられる権利だと考えていたA子は納得ができず、社内にいる非正規雇用にこのことを周知しました。
すると、日頃から待遇格差に不満を抱いていた非正規の社員たちは「私たち非正規は正社員のおこぼれでしか休暇が取れないのか! バカにするな!」と怒り、非正規雇用の乱が勃発したのです。

非正規の乱で現場はパニックに

B男の「非正規は正社員のサポート要員」というセリフを根拠にし、サポート業務以外の仕事を拒否する非正規が続出しました。また、会社に愛想をつかして退職を申し出る非正規も出てくる事態に。
非正規社員の数は少なくなかったため、現場はパニックに陥り、通常の業務が円滑に回らなくなってしまいました。

会社には非正規雇用が多く、彼らの力を頼らざるを得ない状態でした。この「非正規の乱」は会社が抱える問題が浮き彫りになり、上層部でも協議されることになったのです。

非正規の待遇が見直しをされることに

「連休中の休暇申請は正社員が優先」「非正規の連休中の休暇申請は非常識」という発言は、B男の独断によるもので、B男は上層部から厳しく注意されてしまいました。
B男はA子たち非正規に謝罪して発言を撤回。また、上層部でも正規と非正規の格差が問題となり、待遇の見直しもされることになったそうです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:江田愉子