一瞬でおしゃれを格上げできるマジックツールがスカーフ&ストールです。あっさりして見えやすい春夏の装いが素敵に決まる時短メリットは見逃せません。秋冬のイメージがありましたが、薄手タイプは紫外線除けや冷房対策にも効果的。今回は人気ブランド「manipuri(マニプリ)」の新作を通して、重宝なスカーフ&ストールの新発想のアレンジをご案内しましょう。

薄手コートの上から腰巻きでめりはり

まず、「スカーフ&ストールは首や肩に巻く」という思い込みから離れましょう。首・肩以外のポジションに添えるだけで、見え具合が様変わりします。たとえば、ウエスト。細く束ねてベルト風に巻く方法もありますが、一つ折りぐらいで広めの状態で腰に巻けば、スカートのよう。無地の薄手コートに、総柄のスカーフを重ねて、めりはりを出しました。リネン混のストールに配したのは色とりどりのフルーツ。ナチュラルな雰囲気が漂います。

ワンショルダー風アシンメトリー巻き

スカーフ&ストールを「着る」という扱い方は装いにダイナミックな変化をもたらします。一般的には「巻く」「掛ける」「垂らす」ぐらいがバリエーションだと思われていますが、大判のタイプであれば、「服」として着ることが可能です。襟や袖があるわけではないので、かえってアシンメトリーで無造作な印象になり、気取らない自分らしさを醸し出せます。片方の肩だけに掛けたワンショルダー風のまといかたはストールの色・柄を引き立てています。コットンシルクのつやめきが装いを格上げ。トップス、スカートとのカラーブロッキングがルックを弾ませました。

スリップドレスの上から胸巻きでフェミニン

手持ちワードローブの表情を変えるのに、スカーフ&ストールは便利です。特にシルクスカーフの上質感や華やかな色・柄は、見た目がサッパリしがちな春夏ルックに絶好のアクセントを添えてくれます。スリップドレスの上から、正面身頃ゾーンにきれい色のスカーフをオン。フラワーモチーフのおかげで、ボタニカルなイメージが加わりました。フェミニン感が高まるのも胸巻きスカーフのいいところです。背中側で大きな結び目をこしらえると、バックショットにも動きが出ます。

Tシャツにビスチェ巻きでキュートなセンシュアル

夏のTシャツ姿は手抜きに見えやすいのが悩みどころです。羽織り物を重ねれば済みますが、蒸し暑さが困りもの。でも、スカーフを添えるだけなら、Tシャツのさわやかな着心地はそのままで、華やぎや意外感を上乗せできます。あでやかな柄で彩ったシルクスカーフは格上感もプラス。ビスチェ風に巻くと、立体感がアップし、ほのかにセンシュアル(官能的)なムードまで漂います。

ノースリーブワンピにアフガン巻きでアート見え

エアコンが効いた室内ではかえって肌寒く感じることも珍しくありません。ノースリーブ系ウエアの場合はなおさら。本来のポジションともいえるネックゾーンにスカーフを迎えれば、冷えすぎ対策と着映えアップの一石二鳥に。キャビンアテンダント風のエレガントな巻き方もよいのですが、ゆったりめの「アフガン巻き」を選べば、気取らないこなれルックに整います。顔周りのポジションだけに、色・柄選びでは装い全体のムードメーカーを意識して。風景画ライクなアートモチーフなら、知的で上品なイメージをまとえます。

ジャケットにタイドアップ風で装いの主役に

ジャケットの人気が続いていることを追い風に、ネクタイを締める「タイドアップ」の装いも盛り上がってきました。ネクタイを使うとマニッシュ感が強まりますが、スカーフに置き換えれば、やさしげな雰囲気が薫りそう。2種類のモチーフをミックスしたスカーフは、違う柄が交じり合う見え方が視線を引き込む効果を発揮。細長いダイヤ形は真四角のスカーフよりも巻く手間が省けて、きれいに収まります。

ヴィンテージ風の表情、メイド・イン・ジャパンの丁寧仕上げ

「マニプリ」のスカーフ&ストールはアートフルなモチーフや豊かな色彩は装いを格上げしてくれる魅力的ツールです。ヴィンテージスカーフに着想を得たデザインで知られていて、落ち着き、懐かしさなどが印象的な名品を送り出しています。程よくヴィンテージ感を帯びているのでタイムレスに使いこなせるのも人気の理由。メイド・イン・ジャパンにこだわった丁寧なものづくりに定評があります。

2024年春夏シーズンのテーマは「冒険心」。自由な冒険心と伝統的な技術で作る大人の遊び心をくすぐるデザインとアイテムが提案されています。

スカーフは割と見慣れたアイテムだけに、特別感のある逸品で差を出していきたいところです。「マニプリ」のアイテムはモチーフ配置やサイズ感が豊富で、素材や質感がしっかり計算されているから、どんな巻き方でもきれいに映ります。日本ならではのきめ細やかなものづくりが品質を裏打ち。ほぼオールシーズンで使いやすいスカーフ&ストールは味方に付けておいて損のないアイテム。「首・肩に一巻き」の常識から抜け出して、自分好みの新スタイリングに役立ててみませんか。

ファッションジャーナリスト 宮田理江