これは介護福祉士をしている友人から聞いた話です。長男の嫁で親の介護がたいへんなとき、気にかけて手伝いに来てくれていた小姑。その存在が後々信じられないことに……。

一人介護の辛さ

長男の嫁という立場から、妻に先立たれ一人残された舅の介護を引き受けたAさん。
同居していた夫の親である舅には元気だった頃、孫の面倒を見てもらったりお世話にもなったし、体が不自由になった今は、介護で恩返しできたらという思いもありました。

それでも慣れない介護はやはりたいへんで、訪問看護や介護士さん、夫などの助けも借りながら何とか頑張っていました。

ありがたい協力者

そんなとき、ありがたい協力者が現れたのです。
夫の妹で小姑のB子です。舅が元気なときにはほとんど顔を出さなかったのですが、遠方に嫁いでいるにもかかわらず、舅の介護が必要になってからは時間を見つけて手伝いに来てくれるようになりました。

実の娘だし、さすがに父親のことは気になるのだと、B子の「いつもありがとう。これからは私にも頼ってね」の言葉を信じていました。
一人での介護は肉体的にも精神的にも辛いので、協力者がいてくれるのは本当にありがたいことでした。

目に見えて減っていく預金額

B子は、一人で忙しくしているAさんに代わって、主に必要な買い物やデイサービスの支払いなど預金の管理をしてくれていました。

ある日、ふと舅の預金通帳に目を通したAさんはその預金額を見て驚いてしまいました。
介護生活が始まるときに舅から預かっていた預金は、老後の生活のために蓄えていたものです。
その預金の残高がいつの間にかすっかり減っていたのです。

Aさんはすぐに小姑のB子に確かめようと連絡を取りました。すると、B子から返ってきた答えは、介護に必要な物を買っていただけと白を切るのです。
明らかに預金の減り具合が不自然で、そんなはずはありません。

もちろんその犯人は……

Aさんは夫に報告し、夫からB子に話をしてもらいました。Aさんの夫(実の兄)から詰め寄られ、ついに白状したB子。
子どもの学費が足りず舅の預金を当てにして、わざわざ介護を手伝う振りをしてやってきていたのです。

いくら実の娘とはいえ、ずっと面倒を見ているのは夫とAさん夫婦です。介護や生活のために必要なお金を勝手に使い込んでいたことにAさんは許せませんでした。

このことがばれてからというもの、もうお金は当てにできなくなると、B子が一切舅の介護を手伝うことはなくなりました。
Aさんはそれも信じられませんでしたが、その分自分がこれまで以上に舅に尽くしました。

そして、その後舅が亡くなったときに出てきた遺言書には、B子には一切の相続をしないことが記されており、Aさんは驚きましたがとてもスッキリした気分でした。
お金が必要だったのはわかりますが、盗んだりせず直接舅に援助してほしいと言っていたらまた違ったかもしれませんね。舅もB子のしてきたことや、Aさんがよくしてくれたことをわかってくれていてよかったです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kumi.M