周囲の人のネガティブな発言や自分勝手な行動に心をかき乱されると、前向きな気持ちを保つのは難しいもの。そんな相手とのコミュニケーションをスムーズにし、毎日を穏やかに過ごす練習を始めましょう(構成=村瀬素子 イラスト=すぎやままり)

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<1よりつづく>

【Case1】頑固な親と意見が対立

近所に一人で暮らす父親に生活支援が必要になり、「危ないから車の免許も返納しよう」と提案しました。しかし頑固な父は言うことを聞かず、話し合いは平行線。最近は何を相談しても怒るので、私もつい声を荒らげてしまいます(65歳・主婦)

《相手の「NO」に気づく》

社会との接点が減った高齢の父親にとって、運転免許は唯一の存在証明なのかもしれません。それを手放しなさいと言われて頭にきたのでしょう。

相手の「NO」には必ず理由があります。特に頑固な態度や怒りの裏には、寂しさやストレスが隠れているもの。娘にもっと一緒にいてほしい、という思いもあるのでしょう。

円滑なコミュニケーションを図るには、怒りの元であるストレスを軽減することが第一。父親が何に困っているか観察し、サポートしてあげましょう。

社会参加できる趣味を一緒に探すのもいいですね。例えば「近所に老人会の将棋クラブがあるみたい」とリサーチした情報を伝え、本人が興味を持てば手助けをする。ただし、「家にいても何もしないんだから、趣味でも探しなよ」と相手の気持ちを無視した言い方は×。本人の寂しい気持ちが取り除かれた状態で免許返納を提案すれば、頑なな態度も和らぐはずです。

なお、相手の怒りを受けて自分もカッとなった時には、深呼吸が効果的。鼻からゆっくり息を吸い、倍の時間かけて吐ききる。数回繰り返すだけでも交感神経が緩み、リラックスできます。ぜひ試してみてください。