様々な企業と提携、家事代行サービスを広げる

32歳で入院を経験した後も、服薬でパニック障害の治療をしながら、仕事を続けました。

ベアーズがようやく1人分の給料ぐらいは出せるようになったタイミングで、お世話になったITベンチャー企業を退職し、ベアーズに戻りました。2002年、33歳の時のことです。

ベアーズで任されたのが、「家事代行サービス産業をつくり、社会の役に立ちたい」という志を社会に広げる“伝道師”の役割でした。要は広報やマーケティングの業務です。

IT企業で勤めた経験を生かし、まずホームページをつくり直しました。そして、近くの公園で宣伝活動をしました。子ども連れのお母さんたちに声をかけ、「育児で慌ただしい時期こそ、家事代行サービスを利用して笑顔になってほしい」と訴えたのです。

その中から、実際にサービスを利用してくださる方、ベアーズの志に共鳴して「うちのマンションの講習室を使っていいよ」と宣伝に協力してくださる方などが出てきました。


『ウェルビーイング・シンキング』(著:高橋ゆき/日経BP)

家事代行サービスを一般家庭に広げていくために立てたのが2つの戦略です。

1つは、家事代行サービスの重要性に共感してもらえる企業と手を組み、その企業のお客様にサービスを提供していくことでした。

様々な企業に対して営業活動を行った結果、初めてアライアンスを組むことができたのが某大手セキュリティー企業です。2005年に同社が契約するお客様への家事サポートサービスの提供を開始しました。

業界トップ企業と手を組めたことで、ベアーズの認知度や信頼性は一気に高まり、以後、多くの企業から問い合わせがきたり、話を聞いてもらったりできるようになりました。

07年には、最高級5つ星ホテル、大手百貨店、大手コンビニエンスストアなどと、次々と業務提携を結びました。