安奈 言いすぎ、言いすぎ(笑)。榛名さんの第一印象は、発表会で披露された「元禄花見踊り」という日舞ですね。ものすごくキレイで、「わあ、上手に踊っている人がいるなあ!」と思いながら見ていました。

私がアテネに入ったのは、榛名さんと同じく、両親が宝塚のファンだったから。生まれると同時に「将来は宝塚に」と、進路を決められていたんです(笑)。特に父が宝塚が大好きで、母も受験したかったそうなんですが、親に反対されて娘に夢を託したんですね。

で、私も素直に従って。絵を描くのが好きだったので、内心では「美術を学んで絵描きさんになりたいな」と思っていたんですが。

榛名 でも宝塚でトップになったんですもの。すごいですよ。

安奈 私が舞台に出る時は両親揃って観に来てくれたのですが、家に帰ってもそれを言わないんです。でも客席で父は目立つんですよ、おでこが広くてピカーッと光ってるから。それで同級生が「あんた今日、お父さん観たはるで」って(笑)。両親とも何も感想を言わない人たちだったので、気がラクでした。

榛名 私は幼稚園の園長先生に、「正代(まさよ)ちゃん(榛名さんの本名)は大きくなったら何になりたいの?」と聞かれると、その頃から「宝塚のスター!」と答えていました(笑)。当時、関西で育った人が見る美しいものの象徴が、宝塚だったんですね。

うちも特に父親が宝塚好きで、関西学院大学在学中、授業をサボって舞台を観に行ってたというくらい。音楽学校の参観日にも必ず来てくれて、本当に宝塚を愛していました。家でも宝塚の主題歌を口ずさむような環境だったので、自分が入るのは当然だと思っていたわ。

安奈 そういう意味では、お互いに親孝行しましたね。(笑)

榛名 本当にそうよ。