福井県越前市内の林道で排水溝を覆う格子状の金属ふた「グレーチング」の盗難が相次いでいる。同市が4月5日、林道3路線の16カ所で計約40枚の被害を確認したと発表した。いずれも道路を横切る排水溝のグレーチングが持ち去られており、脱輪や落輪を防ぐため通行止めなどの措置を取った。

 同市によると、市西部の中津原町の8カ所で8枚程度、東部の横住町2カ所で9枚程度、同じ東部の市野々町6カ所で22枚程度が盗まれた。いずれも山中に入った人けのない場所で、2月末から3月末にかけて被害が確認された。1枚の大きさは幅30〜50センチ、長さは50センチか1メートル。鋼鉄製で重さは20〜40キロ程度だという。

 グレーチングの盗難は全国各地で相次いでおり、金属価格の上昇に伴う換金目的とみられている。同市や地元区が越前署に被害届を順次提出している。横住町の若泉和則区長(69)は「軽トラックではふたのない溝を越えられず、山の手入れや草刈りに行けない。腹立たしい」と憤っていた。

 市は林道のパトロールを強化するとともに、不審者への注意を喚起している。被害箇所はグレーチングを新調して復旧する方針で、製品代で約170万円を見込んでいる。