5年ぶりに古巣復帰した筒香、4番に座り2安打を放つ

 5年ぶりに古巣のDeNAに復帰した筒香嘉智外野手は、チームの起爆剤になれるのか? 19日の中日戦(横浜スタジアム)では、復帰後初の4番で起用されると、21打席ぶりの安打を放ち復調の兆しを見せた。苦戦したメジャー時代から見守り続けてきた野球評論家の新井宏昌氏が、筒香の“現状”を分析した。

 この日は右膝裏の張りでベンチスタートとなった牧に代わり、5年ぶりの4番でスタメン出場。すると、6回の先頭で迎えた第3打席で左腕・斎藤のスライダーを捉え右翼線二塁打、8回の第4打席では松山のフォークを弾き返す左前打でマルチ安打を記録した。

 試合前まで5試合連続無安打だった主砲の一打。新井氏は「2本とも変化球をうまく捉えました。ただ、これで復調したかと言われれば、そうではないと思います」と口にする。復帰初戦となった6日のヤクルト戦では逆転の1号3ラン。11日の阪神戦でも決勝の2号ソロを放つなどインパクトを残しているが、まだ本調子にはほど遠いという。

 4月中旬に古巣復帰が発表され、その後は2軍で6試合に出場し5月6日には1軍昇格と急ピッチでの調整が続いた。新井氏はメジャー挑戦からマイナー生活が続いた約4年間を「NPB時代とは違い、レギュラーとして過ごした試合数が圧倒的に少ない」と指摘。「打席での感覚、試合にフル出場しての疲労など、本来のルーティンを取り戻すには時間が必要。ベテランになればなるほど、常時試合に出ないと切れ味は出ない」と見ている。

 また、技術的な部分に関しては「力のある速球への対応」が鍵と分析している。変化球を捉える技術は高かったが、メジャー、マイナーでも150キロ超の速球に苦戦し、最後まで結果を残すことができなかった。では、5年ぶりのNPB復帰で、以前のような姿を取り戻せるのだろうか?

「セ・リーグの投手、全体的にスピードボールを投げる投手が出てきている。5年前と比べると投手のレベルは確実に上がっています。簡単ではないですが、本人も試行錯誤しながら状態を上げてくるはず。日本に戻ってきて成功、失敗の評価をするのは、まだ早いと思います」

 牧、宮崎、佐野とタイトルホルダーが並ぶ打線に加わった“ハマの主砲”。ここまで10試合に出場し打率.206、2本塁打、5打点。完全復活を果たし他球団に脅威を与える超強力打線を形成できれば、チームのAクラスも見えてくるはずだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)