大谷ボブルヘッドデーに今季のメジャー最多5万3527人の観客が詰めかけた

■レッズ 7ー2 ドジャース(日本時間17日・ロサンゼルス)

 10年7億ドル(約1088億円)、破格と言われていた契約の“回収”が至る所で始まっている。ドジャース・大谷翔平投手は16日(日本時間17日)、本拠地・レッズ戦に「2番・指名打者」で出場。この日、大谷の首振り人形が配布されるボブルヘッドデーで、MLBで今季最多の5万3527人の観客が詰めかけた。

 試合開始の6時間前。現地午後1時半に記者が球場に到着すると、すでに大谷のボブルヘッドを待つファンの姿があった。この日、外野の立見席でも最低価格は195ドル(約29700円)。野球の試合とは思えない金額にもかかわらず、球場外は長蛇の列。試合1時間前の時点でボブルヘッドがなくなるゲートもあった。

 FAになる2か月前、昨年9月に右肘の靱帯損傷の手術を行った。当時は5億ドル〜6億ドル(約777億円〜約933億円)といわれていた契約は、ふたを開けると、北米プロスポーツ史上最高額だった。当時はその天文学的な数字に驚きの声が上がったが、以降ドジャースに日本企業のスポンサーが殺到。この日も球団は、飲料メーカー「ヤクルト」と複数年契約を結んだと発表した。

 敵地での連戦が終わりホームに戻るたびに、ドジャースタジアムに日本企業の看板が増える。4月に入り、9社目。この日の観戦チケット代だけでも1枚3万円として計算すると、約16億円となる。1000億円という破格の金額が安かったのではないかとさえ、錯覚してしまう。

 エンゼルス時代に2度の満票MVPを受賞し、二刀流として唯一無二の地位を築いた。結婚やドジャース移籍と生活環境がガラリと変わった今でも「一番は自分のやることをしっかりとやって。それで何かを感じ取ってくれたら、どんな人でもうれしいのかなと思います」と自らのためにプレーする心境に変わりはない。ただ、その行動が多くの人に勇気を与え、7億ドル契約以上の価値を生み出している。(川村虎大 / Kodai Kawamura)