◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 3日目(16日)◇TPCソーグラス ザ・プレーヤーズ・スタジアムコース(フロリダ州)◇7252yd(パー72)

ルーキーの前には今、1打の壁、日没の壁が立ちはだかっている。久常涼は早朝7時半過ぎに第2ラウンド前日未消化の最終9番(パー5)をパーにして「74」。通算イーブンパーで1打及ばず予選落ちした。

初日を終えた段階では2アンダー。10番スタートの最後の組、午後3時前にティオフした2日目は終盤に慌ただしくなった。7時半過ぎの日没が迫り、視界が悪い中でカットラインと攻防。グリーン左サイドからパーを拾った後半7番を終えて、決勝ラウンド進出圏内ギリギリにいた。

「僕としては(翌日に)8番からリスタートかなと思っていた」ところ、予選通過が絶望的な位置にいた同組のロバート・マッキンタイア(スコットランド)は、同日中のホールアウトを狙って急激にプレーペースをアップさせた。ボールを打ったかと思えば、次のショット地点まで走り出す始末。久常は慌てず丁寧に回っていたようで、「『行けるとこまで行こうか』という焦りもあって…その辺がうまくジャッジできなかった」と内心は揺れていた。

結局8番(パー3)は「ほぼピンは見えなかった。良いところに行ったかなと思ったんですけど、ちょっと大きかった」と第1打を左奥のラフに外してボギー。カットラインの下で3日目の早朝を迎え、605ydと長い最終9番(パー5)を3オン2パットのパーで万事休す。朝露でボールには水滴が付き、ウェッジで狙った3打目はスピンがかかり切らずバーディパットに10mを残した。

2週前の「コグニサントクラシック」も定刻通りにスタートしながら、2日目最終ホールのプレーを3日目に持ち越し、バーディを奪えず早朝に予選落ちが決まった。「ほぼ毎週、この順延がキツイ」と打ち明けた。昨年主戦場だった欧州ツアーの各会場に比べて、「こっち(米国)の方が、日照時間が短いからか、後半、薄暗い中で見えにくいのに慣れなくて難しいのはある」と厳しい戦いを強いられている。

新人選手のティタイムは、毎回多くのギャラリーを引き連れる有名選手に比べて流動的。初期設定が“アンフェア”なのは最初から理解している。超一流もその苦難を乗り越えて今がある。「1年目を抜ければ、(同じ状況が)少なくなるとは思うので、しっかりシードを取れるように頑張りたいです。自分もこの舞台で戦えている実感はありました。微妙なラインで落ちているので、自信をもって行けたら」。次週も同じフロリダ州内で行われる「バルスパー選手権」(イニスブルックリゾート)に出場する。

今季3回目の予選落ちが決まった直後、再びドライビングレンジで練習してからコースを離れた。21歳の挑戦は続く。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)