◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 事前(14日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

前週の「ウェルズファーゴ選手権」最終日、ロリー・マキロイ(北アイルランド)との“一騎打ち”に敗れて2位に終わったザンダー・シャウフェレ。敗戦を受け、その翌日の月曜日、バルハラGCの打撃練習場脇にあるキャロウェイのツアーバンでチームスタッフによる緊急会議が開かれていた。

「土曜日まではいい感じで打てていたんですが、最終日は打てていなくてストロークがスムーズにできていませんでした」と話すのは、シャウフェレのパターコーチであるデレク・ウエダ氏。最終日のシャウフェレのパッティングを受け、ウエダ氏とツアーレップ、マネジャーが集まり「全米プロ」に向けた対策を検討していたのだった(パットのスコア貢献度を示すストロークゲインドパッティングは最終日「−1.776」と前日の「1.673」から急激に悪化していた)。

その議題は「パターを重くしてストロークをスムーズにする」(デレク氏)ということ。エースパターのソールについた重りを専用の器具で外し、重さを計測しては「20gにしたらどうだ」「それだとバランスが出過ぎないか」など、ああでもないこうでもないと議論が始まった(シャウフェレ本人は不在)。エースパターの重りを変えたパターをバランス計で測ったところ「E3.3」と出た。「これでは重すぎるから、鉛を貼って調整してみようか。でもエースパターには貼りたくないよね」となり、ツアーレップがスペアパターに鉛をべったりと貼っていった。ウエダ氏はエースパターと鉛を貼ったスペアパターを振り比べ、「うん。これならちょうどいいね」と、最終的にスペアパターの鉛バージョンがほどよいバランスに落ち着いた。

一連の作業を終えたウエダ氏は「重くし過ぎると感覚が変わり過ぎるので、ほどよく重さを出したかったんです」とその意図を解説。エースパターに鉛を貼る選択肢もあったと思うが、「エースパターをいじるのはやっぱり怖いですよね。戻れるところがないと。いずれはエースパターに戻したいと考えているので」。スペアパターはエースと同じ赤いヘッドで、サイトラインなどのデザイン、長さ、ロフト、グリップも全く同じ。いざという時にこうしたスペアがあるというのは心強い。今週はそのスペアの赤いツノ型パターで試合を戦う予定だ。

チームシャウフェレの会議が開かれている脇の打撃練習場では、当のシャウフェレ本人が朝早くから黙々と球を打っていた。今週はショットコーチであるクリス・コモ氏も帯同。前週のショットの課題をコーチにぶつけて、スイングの修正を図っていた。負けを引きずることなく、パッティングもショットもすぐに対策を施すその姿勢。そしてそれに応えるチーム力。彼がPGAツアーの第一線で長く戦えている所以(ゆえん)を垣間見た気がする。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)