Photo: かみやまたくみ

とっておきの新幹線ハック(公式)教えます。

新生活シーズンは、観光に出張にと移動も増える季節。みなさんそんな移動時間って何しています? …え? PC開いて仕事? だったらいい話があるんです。

新幹線のシート選びでちょっといいライフハック話を耳にしたんですよ。

ひとりで1.5席。新幹線がオフィスになる日がやってくる 東海道新幹線「のぞみ」に追加される、ひとりで1.5席使える欲張り快適ビジネス旅座席「S Work Pシート」は、3列シートの真ん中を区切ることで、のびのびと使える特別シートです。 https://www.gizmodo.jp/2023/04/s-work-p-seat.html

JR東海の東海道・山陽新幹線(東京〜博多間)7号車(普通車指定席)が、ビジネスパーソン向けの「S Work車両」となってるのです。

Photo: かみやまたくみ

この車両のテーマは…

・移動時間にモバイル端末で仕事を進めたい人向けの車両

・ Webミーティングや通話は、まわりへ配慮すれば座席でもOK

・最低限の作業音は“お互い様”として許容して利用してね

という、まさに移動するコワーキングスペース。

この車両を指定席料金で利用できるらしいのですが、他の座席と具体的にどうちがうんでしょう? わざわざこの車両・座席を選ぶ必要がある? 本当に仕事しやすい? その費用対効果が気になるところ。

なので、実際に乗車して試してみました。

結論から言うと、新幹線で仕事をやっつけたいと考えているなら、グリーン車よりこっち。生産性がちがいます。

ビジネスパーソンの玉座「S WorkPシート」に搭乗

Image: JR東海

まずS Work車両のシートについて説明しておきますね。

S Work車両には指定席料金で予約できる通常のシートに加えて、「S WorkPシート」という特別なシートがあります(予約方法、料金は後述します)。

この「S WorkPシート」は、3列シートの真ん中にパーティションを設けることで、ひとりで1.5席使えるというブルジョワ空間。ビジネスパーソンに向けたS Work車両の中でもわずか10席しかないレアシートであり、ビジネスパーソンに向けた玉座です。

今回の旅はこのシートに乗りたかったといっても過言ではありません。

Photo: かみやまたくみ

シートの質感・素材は通常車両と同じなんですけど、さまざまなポイントで「ビジネス」向けの配慮があります。

たとえばテーブルは、引き出した状態で手元にスライドさせると程よく傾斜するといったギミック付き。これがまたちょうどいい角度でタイピングがはかどりました。

また、前席がリクライニングしても、PC画面に接触しにくい角度までに制限されているようです。この気遣い嬉しいですねー。

Photo: かみやまたくみ

最新のN700S車両なので、コンセントは各席ひじ掛け部分に標準装備。

奪い合いは起こりませんし、すぐ手元にあるので延長タップ不要で、USB充電器を直接ぶっ指せる余裕があります。これはいい…!

Photo: 小暮ひさのり

そして中央の席だった場所には、ドリンクホルダー+小物置き場が生まれました。

そもそも新幹線で仕事しようとテーブルにPCを展開すると、モノを置けるスペースなんてなくなっちゃうんですよね…。窓際なら、わずかなモノ置き棚がありますけど、通路側席だとそれすらありません。

それが「S WorkPシート」なら、このスペースに、ガジェットポーチやタブレット、スマホ、お弁当などをPCと同時に展開できるんです。わちゃわちゃとモノを広げたい僕らにとっては神がかっております…。

広々とした作業空間ではできることのレベルが上がる

今回は東京ー新大阪間でこの「S WorkPシート」を利用しましたが、さすがに1.5席使えるアドバンテージは格別。

広々とした席では、原稿に詰まってだらんと脱力して手を広げたり、肘置きに寄りかかって頭を抱えたり…。と、本来新幹線では制限される動きができます。おかげで始終リラックスして仕事に向かえました。

パーティションによる物理的な隔たりがあるのも安心できるポイント。

隣の人の足元や伸ばした手は見えるので、個室感はないんですけど、物理的な「壁」を挟むことで「こちらはこちら、あちらはあちら」という、ATフィールドのごとき境界認識が自然と生まれるんですよね。

Photo: かみやまたくみ

なので、Apple Vision Proで普通に仕事もできます。

1.5席分の空間は、手を上げる・左右に広げるといった動作も(こじんまりとですが)行なえますし、それらの動きをしてもパーティションにより隣人にエルボーを食らわせる心配がありません。

また、基本的に屋外移動中での利用は推奨されていないApple Vision Proですが、新幹線車内で利用しても、眼の前に巨大なディスプレイを展開できましたし、画面が時速285kmで後ろにすっ飛んでいくことはありませんでした(すっ飛んでいったら笑えたんだけどなぁ…)。

今のところ異質な存在であることはまちがいないのですが、現代はモビリティ、テクノロジー、インフラストラクチャーが相互に影響を与え合いながら前進を続けています。ひょっとしたら、このスタイルも近い内にスタンダード化していくのかもしれませんよ?

S Work車両の料金とS WorkPシートの料金

Image: JR東海

S Work車両には2種類のシートがあり、料金が変わります。

通常のシートは指定席料金で乗ることができ、基本的には角度が付くテーブル(一部の席には付いています)や、1.5席の広々空間、パーティションはありません。いわゆる普通のシート。

そして今回利用した10席限定の「S WorkPシート」は、指定席料金に加えて+1,200円かかります。

この追加コストは…正直悩ましいところですね。具体的には移動距離と要相談といった感じ。

たとえば、すぐ降りなくてはいけない近距離(東京ー静岡)移動だと、贅沢に感じてしまうかも? 一方で長距離(東京ー新大阪や九州方面)移動となると、費用対効果ブチ上がります。

僕なら2時間を超える移動なら積極的に使っていきたいですね。だって新幹線がコワーキングスペースになるのですから。

S Workシートの予約方法

最後にS Work車両の予約方法についてお伝えしておきますね。

S Work車両の運行は東海道・山陽新幹線(東京〜博多間)となり、搭乗にはネットサービス経由での事前予約が必要です。

年会費無料の「スマートEX」、もしくは年会費1,100円がかかる「エクスプレス予約」からの予約となり、駅の窓口や券売機からは予約できないのでご注意を。

Source: JR東海
取材協力: JR東海 ※許可を得て撮影を行なっています。